現場教育への取り組み

山下

 本研究科は、充実した附属施設での実習等によって実学としての農学教育を行っております。さらなる現場教育の機会を学生に提供するため、本研究科では2005年に、産学官民の連携を活用した課題解決能力の養成を目的とした分野横断的な教育プログラム(アグリコクーン)を立ち上げました。企業等の協力を得て、食の安全・安心やバイオマス利用などをテーマに、他分野の専門家とともに課題解決を考える講義・実習を実施しています。
 また本研究科は、2011年3月に発生した東日本大震災と原子力発電所事故に被災した東北地方の復興に取り組んでいます。地元の方々や他分野の専門家の方々とともに研究を通じた農林水畜産業の復興支援に多くの学生が参画しています。2013年度からは、アグリコクーンに農林水畜産業における放射線影響に関するプログラムも加わりました。旅費支援などのための財政的基盤を強化することによって、より多くの学生が参加できるようになると考えています。

国際化への取り組み

山下

 本研究科の大学院生の約2割が外国人留学生で、出身国は25カ国に及びます。博士課程では留学生が3割を超えています。留学生の6割以上が私費留学生であり、勉学に専念するために経済的な支援が必要な留学生が多数在籍しています。大学院生の国際経験を増やす取り組みとして、創立125周年記念事業で創設された農学国際交流基金によって、国際会議や海外調査の渡航費の補助を毎年100名の学生に対して行っています。国際農学専攻や獣医学専修(5-6年生)の海外実習の補助としても使われていますが、資金の制約から、国際開発農学専修の海外実習に参加する学部生には補助できていません。これからは学部の海外実習を拡大していくことによって、農学の貢献が期待されている地域社会が世界にはたくさんあることを、学部生にも気付いて欲しいと考えています。


アジアの現場を体験して

山下

山下彩香さん(平成21年度農学部国際開発農学専修卒業)

 私は農学部国際開発農学専修の出身で、学部4年生の時にタイ東北部の穀倉地帯コンケンへと海外実習に行かせていただきました。目的は、田んぼの土壌水分量観測のための機材設置と現地視察。それまでも、観光では様々な国を訪れていた私でしたが、ここまで深く現地の人の実際の生活に触れることができた渡航は初めてで、本当にたくさんのことを考えさせられました。現地の人と同じものを食べ、同じものに乗り、同じ場に足を踏み入れること。本当に、百聞は一見にしかず、だと思います。
 これらの経験を通して見えてきた世界は、私がそれまで頭の中で想像していたものとは異なり、彼らと同じ目線で物事を考えることができた経験は、将来、何らかの形で国際開発に関わり続けたいと思っていた私にとって、何にもかえがたいものとなりました。私はその後大学院に進み、そこでの出会いから、現在はフィリピンの山岳先住民族の方々と、無形文化継承のための活動を行っています。

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