農学生命科学研究科概要 −21世紀を担う農学−

大学院農学生命科学研究科長・農学部長 古谷研

研究科長からのメッセージ

大学院農学生命科学研究科長・農学部長
丹下 健

 我々人類の生活は、植物が光合成生産する有機物に依存しています。自然界からの採集や狩猟によって生活に必要な食料や資材を得ることから、農耕や牧畜によって食料等を生産するようになって人口増加が進み、人間社会は発展してきました。農学は、人口増加に伴って増大する生物資源の需要に応える学問として生まれ発展してきました。穀物の大量増産を可能にした緑の革命は、一方で生態系や環境に大きな負荷を与え、生物生産の持続性の面でも問題が指摘されました。現代では、環境負荷を最小限に抑える環境調和型農業が志向されています。農学が担う農林水畜産業は、主に自然環境のもとで生育する生物を対象とすることから、育てる生物の生態・生理特性だけではなく自然界のメカニズムを理解し、それに反しないことが必要です。また広大な土地の農地などへの改変も伴うことから、それを支える工学的な技術や社会制度、経営システムも必要です。農学は、生物資源の持続的な生産を通して社会に貢献することを目的に、生命科学から生物資源学、環境科学、工学、経済学、社会科学までの広範な学問分野が有機的に結びついた総合科学と言えます。

 現在の72億人の世界人口は、21世紀末にはその1.5倍の100億人を超えると予想されています。途上国の経済発展も進み、自然界に対する負荷はますます増大します。近年では温暖化など地球規模で進行する気候変動が顕在化し、異常気象が頻発し、人命や財産が危険にさらされることが多くなりました。気候変動は、自然環境に依存する農林水畜産業にも大きな影響を与え、将来的にはもっと深刻な影響が予測されています。安全な食料の安定供給と地球環境の保全が、21世紀の人類にとって最大の課題であり、その課題の解決に向けた技術的や社会的な対策を担う農学の役割はますます大きくなっています。生物が有するさまざまな機能を解明して、人間社会の将来に役立てることが我々に課されたミッションです。

 農学生命科学研究科の教育・研究上の目的は、農学の基盤を形成する諸科学に関する世界水準の教育、研究を進め、人類が抱える食料や環境をめぐる多様な課題に取り組む専門性豊かな人材を養成することです。農学生命科学研究科は12専攻、約100の研究室からなり、自然科学から社会科学までの、また基礎科学から応用科学までの、多様な農学の分野を網羅する幅広い研究が行われています。各専攻において高度の専門性を身につけるとともに、専攻を横断して実施されている教育プログラムにより、幅広い視野をもつ人材の育成を目指しています。

 農学のなかに、皆さんの興味をかき立てるものが必ず見つかるはずです。皆さんが自分の将来の方向性を見据えて、農学生命科学研究科の一員に加わられることを歓迎いたします。

農学生命科学研究科概要

沿革や施設なども含めた概要については、農学生命科学研究科・農学部の概要ページをご覧ください。