プログラム

開会の挨拶

グローバルヒストリーとして見た現代アジア農業 (13:35~14:25)

農学国際専攻 准教授 川島 博之

先進国の経済が不調に陥った真の原因はアジア諸国の急速な工業化にある。アジアは急速に経済発展しているが、その発展は農村から出てきた人々によって支えられている。窒素肥料の普及により農業の生産性が大きく向上し、少数の農民で十分な食料を生産できるようになったことが、農民の都市への流出を可能にした。アジアの工業化は日本に始まり、台湾、韓国が続き、中国、インドに拡大し、バングラデシュやミャンマーに及んでいる。そして数が多いことからアジアの農民は先進国も含めた世界経済に大きな影響を与えている。アジアの農民の行動を解析することは、21世紀の日本の農学に課された大きな課題になっている。

独立栄養微生物による炭酸ガスの有機資源化 (14:35~15:25)

応用生命工学専攻 准教授 石井 正治

独立栄養生物とは、その生物を構成する全ての炭素成分を炭酸ガスから生合成できる生物群を指す。本セミナーでは、独立栄養的生物炭酸固定の生物的重要性と炭酸固定経路の代謝的概要をまず述べる。その後、70℃で生育する独立栄養微生物 Hydrogenobacter thermophilus の代謝生理研究の成果と炭酸ガスの有機資源化を指向した応用的研究の成果とを紹介する。同菌は、石炭火力発電所の排ガスを模した模擬排ガスでも生育可能であることが示され、さらに、遺伝子導入系も構築できたため、排ガスを用いてのものつくりなる道が示されつつある。また、私たちが進めている他の研究(従属栄養生物の独立栄養化)などについても紹介したい。

鳶が鷹を生む?エピジェネティクスによるDNAの紬 (15:35~16:25)

応用動物科学専攻 教授 塩田 邦郎

数千年前に遡る家畜化について、また、雑種強勢について、ゲノムの観点から話題を提供したいと思います。特に焦点を当てたいのはエピジェネティクスについてです。種の維持には次世代(子供世代)へのゲノムの安定的な継承が不可欠ですが、種の維持にはある程度の個体数(ゲノム多様性)が必要です。ゲノムの多様性を獲得するには遺伝子の変化が不可欠です。ゲノムの安定性と不安定性を理解するために“エピジェネティクスとは何だ?”という話を紹介します。

閉会の挨拶

司会・進行 広報室長 獣医学専攻 教授 中山 裕之

開催のご案内

日時 2012年6月16日(土)13:30~16:30
場所 東京大学 弥生講堂・一条ホール
東京都文京区弥生1-1-1
地下鉄南北線 「東大前」下車 徒歩1分
地下鉄千代田線 「根津」下車 徒歩7分
※お車でのご来場はご遠慮ください。
対象 どなたでも参加できます。
定員 300名(当日先着順、事前登録不要)
※定員を超えた場合、入場をお断りすることがあります。
参加費 無料
受講証 受講証を発行いたします。
ご希望の方は、120円切手をご持参の上、当日受付でお申込ください。

主催・共催

主催: 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部
共催: 財団法人 農学会

お問い合わせ

東京大学農学系総務課 総務チーム 総務・広報情報担当
〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1
電話 03-5841-8179, 5484
E-mail koho@ofc.a.u-tokyo.ac.jp