応用生物学専修

有用微生物を利用したり、病原微生物により健康が脅かされるなど、私達の生活にとって微生物はとても身近な存在ですが、同じように植物や昆虫も微生物と敵対したり共生したりしながら密接な関係を築いて生きています。応用生物学専修では「農」に関わる作物や昆虫を対象として植物/昆虫・微生物間の分子相互作用を研究し、微生物をうまく制御することによって作物や昆虫の健康を維持し、食料や有用物質の生産に貢献することを目指しています。課程専門科目の植物病理学、環境微生物学、菌類学、昆虫病理学、植物ウイルス学、植物細菌学や学生実験などを通じて、ミクロの視点から見た農学の最先端が学べます。

生命化学・工学専修

生命化学・工学専修の前身となる農芸化学科は日本の応用微生物学の発祥の地です。当専修は微生物学分野において世界をリードする研究成果を多数生みだすとともに、多くの人材を学界・産業界に輩出してきました。現在でも多くの教員が、さまざまな微生物が示すユニークな生命現象の解明やその応用を目指した研究を幅広く行っており、我が国の微生物研究の一大拠点を形成しています。講義では、微生物の遺伝、生理、生態などの基礎から、発酵、環境、ホワイトバイオなどの応用までを広く深く学ぶことができます。また、学生実験の内容も大変充実しており、微生物学の楽しさを初歩から実地に学べます。希望者には日本酒造り実習も行っています。

獣医学専修

近年、微生物による感染症(口蹄疫、鳥インフルエンザなど)は獣医学領域の大きな課題となっています。感染症には動物の感染症に加えて、ヒトも動物も感染する人獣共通感染症があります。感染症は動物やヒト、そしてものの移動に伴って容易に他の国にも広がることから、国際的な問題となることもしばしばです。獣医学専修では感染症の原因となる細菌、ウイルス、寄生虫などの微生物の基本的性質および各種微生物の特性、ならびに各微生物によって起こる病気の診断、治療、予防などについて学びます。また、ワクチン開発などの感染症対策は重要な研究テーマです。

森林生物科学専修

森林には非常に多様な菌類等の微生物が存在します。それらのはたらきを抜きにして森林の動植物は生存できません。森林生物科学専修では、樹木や昆虫と共生する微生物、枯死木の分解に関わる微生物、あるいは樹木に病気を引き起こす微生物等、さまざまな微生物を対象として、生理学的、遺伝学的、生態学的研究を行っています。講義や実習の中に微生物に特化した科目はありませんが、樹木医学、森林植物学、森林動物学、野生動物管理論等の講義科目で、植物や動物と微生物との関係や微生物の生態を学ぶことができます。また、学生実習では、森林に生息する微生物の観察や培養を行います。

水圏生物科学専修

水圏には膨大な種類の微生物が生息しており、赤潮の原因生物や魚介類の感染性病原体といった有害な種類に関しては対策研究が、有用物質産生種や魚介類餌料など有用種については利用研究が進められています。さらに、微生物は水圏生態系の形成、維持、変動にも深く関与しており、地球環境の諸問題を考える上で微生物に関する視点は必須です。水圏生物科学専修では、これら水圏に生息する微生物に関連する内容について、課程専門科目の水生無脊椎動物学、浮遊生物学、生物海洋学、海洋生態学、水産増養殖学、魚病学、水圏天然物化学などを通して学びます。また、水圏生物科学実験では、観察法や取り扱い等に必要な技術も習得します。

研究紹介 - 広報誌「弥生」から -

放線菌に秘められた機能を拓く( 関連専修:生命化学・工学専修 )

弥生57号

生物生産工学研究センター 葛山 智久 准教授
自然環境のいたるところに棲む放線菌は、多様な化合物を作りだす高い能力を持っています。その能力の基となる仕組みを解き明かして活用することで、将来、人類にとって有用な新しい化合物を創りだすことができるかもしれません。 続きはこちら

「弥生」57号

リジン醗酵の制御機構の解明( 関連専修:生命化学・工学専修 )

弥生53号

生物生産工学研究センター 西山 真 教授
微生物においてリジンの生合成は複雑に制御されています。鍵酵素の立体構造を決定することで、複雑な制御機構を正確に理解することができるようになりました。 続きはこちら

「弥生」53号

小さな微生物の大きな可能性( 関連専修:生命化学・工学専修 )

弥生42号

応用生命工学専攻 大西 康夫 教授
近年の遺伝子工学の発展や様々な微生物ゲノムの解読により、微生物利用技術は革新的な発展を遂げつつあり、微生物バイオテクノロジー(微生物バイオ)と呼ばれています。目には見えない小さな微生物には大きな可能性が秘められています。 続きはこちら

「弥生」42号(執筆時は助教授)