平成24年7月9日(月)、東京大学農学部フードサイエンス棟中島ホールにおいて、マリア・ダマナキ欧州委員会委員(漁業・海事担当)による講演会が開催されました。

マリア・ダマナキ委員は、第2次バローゾ欧州委員会で委員を務めている要人です。今回、7月9日から12日まで来日し、東日本大震災で被災した東北地方への訪問、我が国農林水産大臣と会合を持ち、その際に違法、無報告、無規制(IUU)漁業問題への取組みに関して話し合いを行う予定となっている中、来日後の最初のイベントとして本学での講演会が開催されました。

講演は、「海洋:我々に与えられた共通の課題(The Oceans: Our Common Challenges)」と題し、特に漁業問題を中心に、最新の地球的課題が紹介されました。特に、世界で水揚げされた漁獲物のうち20%が規制を逃れて違法に水揚げされたものとの推計があること、しかしながら海は広く、漁業操業への監視取締が完全ではないこと、そのような中、正規の漁獲証明がない水産物は市場流通させないようにする制度が重要であり、EUはそのような政策を実施していることなどが紹介されました。

質疑応答では、本学学生から、違法な漁業を撲滅するためには魚種ごとに決め細やかの対策が必要になっているなどとする意見も出され、日欧の共通課題を解決するための議論が熱心になされました。


(参考)
 ダマナキ委員は、1952年クレタ島生まれ。75年国立アテネ工科大学で理学修士(化学工学)を取得。在学中、ギリシャ独裁政権に反対する学生運動に参加。73年11月の学生蜂起で占拠した大学構内から地下ラジオ放送で演説し、「蜂起の声」として知られる。そのため、74年7月まで独裁政権により拘禁。75-76年財務省輸出入計画部事務官を経て、77年、25歳で最年少のギリシャ議会議員となり、93年まで連続当選、86-90年女性初の同議会副議長に選出。91-93年左翼進歩連合(SYN)党首就任、同国で女性初の政党党首となる。94年と98年アテネ市長候補。2000-03年および04-09年ギリシャ議会議員。

(問合わせ先)
東京大学大学院農学生命科学研究科 農学国際専攻 国際水産開発学研究室
准教授 八木信行
113-8657 東京都文京区弥生1-1-1
電話03(5841)5599