2015年3月4日、東京大学情報学環・ダイワユビキタス学術研究館ダイワハウス石橋信夫記念ホールにて、シンポジウム「2015年ミラノ国際博覧会-地方そしてグローバルな視点からの食、健康、持続可能な農業発展-」(東京大学大学院農学生命科学研究科・駐日イタリア大使館主催、農林水産省・経済産業省・日本貿易振興機構(ジェトロ)共催)が開催されました。これは、2015年5月1日から184日間にわたりイタリア・ミラノで開催される国際博覧会(テーマ「「地球に食料を、生命にエネルギーを」)を記念して、「食、健康、持続可能な農業発展」を主題に開催されたもので、イタリア農業政策大臣が来日して基調講演を行いました。会場は満席となり、イタリア・日本両国の食や農業、健康分野における有識者による講演・パネルディスカッションを通して、活発に意見交換がなされました。
当日はまず、古谷研東京大学大学院農学生命科学研究科長による開会の挨拶に続き、マウリツィオ・マルティーナイタリア農業政策大臣が基調講演を行い、イタリアの農業にまつわる現状や課題を述べるとともに、イタリアと日本は食と農業の分野で互いに学び合い高め合うことでさらなる発展が期待できるという展望を示しました。次に、あべ俊子農林水産副大臣が農林水産省を代表して挨拶をしました。
パネルディスカッションは2部構成で進められ、前半で仁坂吉伸和歌山県知事が和歌山県を事例とした持続可能な農業発展を、中嶋康博農学生命科学研究科教授が棚田の活用による農業の6次産業化を講演し、持続可能な農業の在り方を提示しました。後半では、食をテーマにまず朝倉富子同研究科特任教授が味覚の科学の立場から和食の長所を、次に加藤久典同研究科特任教授が機能性食品のはたらきを、最後に服部幸應服部栄養専門学校校長が様々な事例をもとに食育の重要性について講演しました。金子豊二同研究科教授がモデレータを務めて5名による意見交換も行われ、人口爆発と食料の確保、飽食と飢餓など、食や農業にまつわる地球規模の課題について、世界各国が協力して取り組む必要性を再確認しました。
最後に針原寿朗農林水産審議官が挨拶をし、豊かな食の伝統を育んできたイタリアと日本が、食と農業の分野をはじめとする様々な面で、関係をより一層深めていくことを約束して閉会となりました。