本研究科生物材料科学専攻の五十嵐圭日子准教授と鮫島正浩教授の研究グループが取り組んでいるセルロース分解酵素の微小重力下における結晶化実験の結果が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から速報されました。
セルロースは地球上に最も豊富に存在し再生可能な生物資源(バイオマス)であることから、セルロースをアルコールや有機酸に変換し、そこからさらに様々な物質を製造するバイオマス利用研究が世界的に行われていますが、酵素による分解効率が低いことが問題となっています。五十嵐准教授らのグループはこのバイオマス利用研究で最も注目されているセルロース分解酵素(セルラーゼ)の触媒メカニズムの解析を進めています。
今回、宇宙実験で得られた結晶は、地上で得られた結晶と比較して、非常に大きな結晶が得られており(画像)、これまでの地上研究で得られていない高分解能のX線回折データが取得できております(解像度0.85Å)。これらの成果は将来、バイオマスを再生可能エネルギーの原料や有用物質の生産原料として有効利用するグリーンイノベーションの一端を担うと期待されています。
本研究はJAXAのJEM利用高品質タンパク質結晶生成(PCG)第2期第4回実験「立体反転型セルロース分解酵素Cel6Aの触媒メカニズム解析」(代表研究者:五十嵐圭日子(生物材料科学専攻 准教授)、実験者:立岡美夏子(同 博士課程学生、日本学術振興会特別研究員)、石田卓也(同 特任助教)の結果です。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページ
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/160526_pcg.html