東京大学 大学院 農学生命科学研究科・農学部 広報誌『弥生』Vol.76 (Spring 2023)
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もともと私は後藤英一先生のもとでコンピュータNo.16のハードウェア設計の研究に携わっていました。その後、コンパイラ、オペレーティングシステム、並列分散プログラミング環境と、情報システムの基盤となるソフトウェアの研究を行ってきました。当時はプログラム作りが大好きで、それこそ寝食を忘れ没頭していました。論文は二の次になりがちでしたが、助手のときのPIの前川守先生に勧められ、分散処理の分野を代表する国際会議で発表したのがきっかけで、多くの研究者と交流し研究会の立ち上げや、論論文誌の編集など、積極的に活活動するようになりました。 そんな私に大きな転機が訪れたたのが1995年。理学部の益田■■司先生からラボの教授だったた土井淳多先生を紹介していたただき、「生物情報工学」の研究究をぜひやってみたいと思いました。折しもゲノム解析が盛んに行行われ、大量のデータが蓄積さされつつあった時代です。従来とは違う研究手法が求められKentaro Shimizu生物情報工学研究室    ており、私がそれまでやってきた研究が新たな分野で生かされるチャンスでもあったとも言えるでしょう。鈴木昭憲先生にも「今後、この分野はますます重要になるはずだ」と、励まされ強く背中を押されたことを覚えています。 実のところ、私は大学2年の進学選択の際、情報科学に行くか、化学に行くか、非常に悩みました。結局、選択したのは情報科学でしたが、化学が好きだったことは確かで、だからこそ、今の分野への挑戦を決心できたのだと思います。とはいえ、これまでとはまったく違う環境です。不安もありましたが、農学部の先生方には、たいへん優しく受け入れていただき、今でも感謝しています。赴任直後に東大125周年の企画で農学部のさまざまな場所へ取材に同行し、多くの先生方と関われたことは、農学部になじむ良いきっかけになりました。その後、農学部のホームページの仕事や「東大農学部の歴史」のページの立ち上げに携わったことも本当に貴重な経験でした。 ラボの研究に関しては、スタッフに恵まれ、分子シミュレーションから機械学習を使った研究と、幅広く取り組んでいます。2004年には、農学生命科学分野のバイオインフォマティクスの教育と研究を目的にしたアグリバイオインフォマティクス教育研究ユニットを岸野洋久先生、阿部啓子先生、嶋田透先生らと発足させ、歴代の研究科長の先生方、また、別府輝彦先生にも多くの面でお世話になりました。ふりかえると、実にいろいろな方々に教えられ、支えられてきたと思います。費特定領域の企画で他析大学の学生実験やゲノム解析の実習に参加しました。第8回分散コンピューティング第国際会議。Epiphaniesその瞬間出会いに恵まれ、異分野へ清水謙多郎教授

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