東京大学 大学院 農学生命科学研究科・農学部 広報誌『弥生』Vol.76 (Spring 2023)
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8――建設の経緯は……。生態調和農学機構のある田無キャンパスは、水田、畑、果樹園、林、温室などを有し、約28haあります。現場の科学である農学の教育研究には、生産規模のフィールドが不可欠で、これを担ってきたのが本機構(旧農場)です。現在キャンパスでは、敷地を二分する都市計画道路(都道)の整備に伴い、機能をゾーニングし集約する大規模整備を実施中です。道路の北側を2017年10月に竣工した格納庫棟や調製施設群をはじめとする教育研究エリアとし、道路の南側をハス見本園や、農場博物館などの歴史的価値の高い建物を残し、市民に開かれたエリアとする再編プロジェクトです。今回新設した建物は道路の北側に位置し、教育研究の中核を担います。――施設の特徴は……。研究室や講義室は、ハラスメント防止などの観点から壁の一部がガラスで、内部の様子が廊下から見えるようになっています。最新設備を完備した生物系実験室や情報機器室などに加え、他学部の研究実験棟では見られない圃場玄関や試料調製室を設置しました。圃場玄関と試料調製室は、それぞれ人と実験材料のフィールドと研究実験棟の緩衝地帯になります。各室で、人は泥まみれの長靴や作業着を洗浄し、実験材料の農作物や土壌はサンプル部分のみにより分けられます。また、試料調製室は、フィールドからトラクターなどで直接農作物等を運び込める段差がないしつらえのほか、可動壁を設け冷暖房効率を上げるなどの工夫が図られています。――完成に寄せた期待感は……。機能だけでなくデザインも含めて期待以上の建物が完成しました。フィールドでの研究が一層しやすいように、外来研究室やロッカールームも設置しました。今後も、研究科をはじめ、学内外・国内外の多くの研究者とともに、農林業と社会のありかたを探求し続けてまいります。東京大学・大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構from Graduate School of Agricultural and Life Sciences 米川 智司准教授30田無キャンパス 田無本館(総合研究・実験棟)

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