東京大学 大学院 農学生命科学研究科・農学部 広報誌『弥生』Vol.77 (Fall 2023)
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July「シグナチャー」試写会〜当研究科修了生 醸造家、安蔵光弘氏を迎えて〜発行日 令和5年9月30日 企画編集:東京大学 大学院農学生命科学研究科広報室(岩田洋佳・■口洋平・永田宏次・福田良一・関澤信一・秋山拓也・中西もも・井出留美・山吹尚弘・村上淳一・岸俊輔・和田麻沙)〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1 TEL : 03-5841-8179 FAX : 03-5841-5028 E-mail:koho.a@gs.mail.u-tokyo.ac.jp デザイン:梅田敏典デザイン事務所 表紙撮影:及川 希 撮影場所:附属北海道演習林 取材編集:米谷紳之介れらの関係を研究し、研究結果をもとに最適な関係を構築していく必要がある。地球環境と人間の社会経済活動を同時に持続可能にしていくためには、こうした「最適な関係」を探求するための研究が不可欠となる。なお、本号の表紙の写真は、北海道演習林の技術専門職員及川希氏によるものである。北海道演習林では、天然林の維持と経営を両立させるための実験的施業が長く行われている。そんな演習林内で「最適な」距離から捉えられたエゾシカの凛とした表情を、本号の記事とともにお楽しみいただければ幸いである。Yayoi 77EVENTS REPORTイベントリポートAprilMayJuneJuly編集後記「共存する」という言葉は、ともすると対立してしまう関係に使われることが多い。「コロナとの共存」、「AIとの共存」などがその例である。われわれが「自然と人間の共存」という言葉を使うとき、自然と対立しかねない人間やその社会経済活動のことが念頭にあるのではないか。本号の弥生では、「動物と人間」、「生態系と人間」の関係をテーマに記事が構成された。本号の記事をお読みいただくと、それらの関係が、「共存か、対立か」という単純な二項対立ではなく、動的で連続的な関係であることをご理解いただけるであろう。動的で連続的な関係であるがために、科学的手法によりそFall202311富士癒しの森研究所(山梨県山中湖村)では、毎年恒例の「特別ガイド」を4月22日に開催し、東大教職員ら20名が参加しました。「春の彩りを訪ねて」のテーマのもと、春植物などの自然観察に写真の要素を取り入れつつ、マメザクラやコブシ、スミレなどの咲く林内をゆっくりと散策しました。参加した皆さんは、各々の感じるままに気に入った被写体を見つけ、写真に収めていきました。昼食時にはプロのカメラマンの解説を交えつつ皆さんが撮影した写真を鑑賞しました。皆さんには、視点を変えて自然を見る楽しみを覚えていただけたように思います。5月10日に北海道演習林で、『ぶらり 東大の森さんぽ〜新緑の「カツラの谷」を訪ねる〜』を開催しました。当日は9名の方にご参加いただき、ヒトリシズカやニリンソウ、オオバナノエンレイソウなどの春植物を観察しながらゆっくりとカツラの谷を目指しました。新緑のちょうどいい時期で、樹種によって新緑の色にも違いがあり、主役のカツラは芽吹きたての淡い緑色で谷を包んでいました。片道700mという短い道程でしたが、散歩する雰囲気で新緑の森をゆったり楽しんでいただけたかと思います。6月17日に第64回東京大学農学部公開セミナーがオンラインと現地とのハイブリッドにて開催されました。今回のセミナーは「光」というテーマで、光合成反応の源となる光の制御、光に対する応答の仕組みとそのからくりを利用した植物生産能力の強化、二酸化炭素を炭化水素へ還元する能力に秀でた特異な微細藻類の生合成機構について、それぞれ所属教員から講演がおこなわれました。7月16日早朝、富士癒しの森研究所の森の中で、「癒しの森の朝もや音楽会」が開催されました。コロナ禍を機に始まった森の中での音楽会ですが、今年で4回目の開催となります。 ステージは演習林内の講義室に併設されたウッドデッキで、客席はそれを囲む森の中です。観客は折りたたみ椅子や敷物を持ち寄り、思い思いの場所に席をかまえます。朝日が徐々に差し込む森の中に、クラシックエンカレッジの弦楽器トリオが奏でる美しい音色が溶け込んでいきました。散歩をしながら、コーヒーを飲みながら、愛犬とくつろぎながら、など皆さん自由な聞き方で森の音楽会を楽しんでいました。7月27日、日本を世界の銘醸地にするため日本ワインの一致団結を掲げて奮闘されてきた当研究科修了生の醸造家、安蔵光弘氏の半生を描いた映画「シグナチャー〜日本を世界の銘醸地に〜」の試写会を弥生講堂・一条ホールにて開催しました。本作品は、ニース国際映画祭『最優秀作品賞』をはじめとして世界の映画祭で数々の賞を受賞し、昨年の11月から全国で公開されました。当日は、安蔵氏と柿崎ゆうじ監督をお迎えし、約100名の学生、教職員が参加しました。安蔵氏の在学中のお話や柿崎監督の撮影時の裏話も聞くことができ、学生からの質問も活発で、大変有意義な時間を過ごすことができたとの感想が多く寄せられました。東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部Webサイトwww.a.u-tokyo.ac.jp特別ガイド「春の彩りを訪ねて」ぶらり 東大の森さんぽ 〜新緑の「カツラの谷」を訪ねる〜第64回東京大学農学部公開セミナー癒しの森の朝もや音楽会77

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