東京大学 大学院 農学生命科学研究科・農学部 広報誌『弥生』Vol.80 (Spring 2025)
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東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部Webサイトwww.a.u-tokyo.ac.jp11Spring2025https://www.a.u-tokyo.ac.jp/donation/発行日 令和7年3月31日 企画編集:東京大学 大学院農学生命科学研究科広報室(岩田洋佳・樋口洋平・福田良一・関澤信一・秋山拓也・中西もも・三條場千寿・田口恵子・井出留美・山吹尚弘・村上淳一・岸俊輔・和田麻沙)〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1 TEL:03-5841-8179 FAX:03-5841-5028 E-mail:koho.a@gs.mail.u-tokyo.ac.jp デザイン:梅田敏典デザイン事務所 表紙撮影:高野洋(株式会社Shinme) 撮影場所:東京大学情報学環メディアスタジオ 取材編集:米谷紳之介 表紙は世界に5体しか存在しないうちのひとつ、農学部所蔵ニホンオオカミの剥製標本の迫力ある写真となっています。「農学回廊」では、明治・大正時代に採集された植物標本を紹介しています。これら本学ならではの貴重な写真もお楽しみいただければ幸いです。 私自身、本号をきっかけに本学の歴史をあらためて調べ、学びました。次の150年にバトンをつなぐために、私たち研究者は後世に何を「遺す」のか、今一度しっかりと考える時なのだと感じました。      広報室員 三條場千寿(1)研究科全体の研究および教育の発展のために(2)新たな国際研究拠点の設置を目指して(3)附属施設の利活用による社会貢献詳細はこちら、・農学知のオープン化:農学資料館の新築、教員カタログの充実、産学オープンスペースの設置、産学官公開シンポジウムの充実など・美しく快適なキャンパスライフ:リフレッシュルームの設置、衛生環境の改善(化粧室・トイレを含む)、省エネ対策(スマートメーターの導入等)・農学から社会を俯瞰できる人材育成:海外インターンシップ制度の充実、地域連携に貢献できる人材の育成、研究室から飛び出せる人材の育成・サステナブル・マテリアル国際教育研究棟(農学5号館):カーボンニュートラルなどの教育研究分野へのさらなる展開・高度化を目指した研究・教育拠点を目指す・農学ライフサイエンス研究教育棟(農学2号館):世界に向けた食・環境・生命・情報などの農学ライフサイエンスの発信源となり、国際的研究者養成、産学協創の設置し機能的・スタイリッシュな先端的研究教育拠点を目指す・総合農学イノベーション教育研究棟(農学3号館):農学知のオープン化を実践展開する国際的な研究・教育拠点を目指す全国にある東大農学部附属施設について、これらの活動も農学には欠かせないものであり、以下にあるプロジェクト活動についても本プロジェクトで支援していきます。・持続可能な森づくりを未来に繋ぐ(演習林)    ・海洋生物研究教育拠点形成(水産実験所)・動物医療センター新棟建設(動物医療センター) ・牧場ビジョン100 〜Reflection75&Forward25〜(牧場)科学データを蓄積しながら教育研究を行い、国内外の社会で活躍する人材を輩出し続けてきました。全国にある附属施設を活用し、座学を超えた学びの場を展開し、現場で課題解決のためのデザインができる、地球的な視野と高い倫理観、粘り強い実践力を備えた学生を育てる研究教育環境をさらに強化したいと思います。 このような趣旨のもと「東大農学150+未来プロジェクト」は、本学部が、次なる150年も農学関連領域での教育研究活動を通じ、世界の公共性に奉仕する中核拠点であり続けるべく進化・発展する所存であり、その原動力となり得るために以下のような事業を展開いたします。 東京大学農学部は2024年に150周年を迎えました。駒場農学校の前身として設立され、英国の農学をモデルに教育を開始しました。さらに日本の自然資源を背景に林業や水産業に係る研究も発展させ、それらも農学の中核を担うようになりました。 東京大学の農学は、育種や栽培法の改良など食料生産を向上させる最先端の技術、食品の加工・流通の革新的な技術の開発を進める自然科学の研究、そして生産・消費システムをめぐる人文社会科学の研究なども融合させた総合学問として発展させてきました。 近年、農学にはこれまでの枠組みの延長では解決できない新たなミッションが課せられ、地球規模の環境問題の解決をあわせて行う新た「東大農学150+未来プロジェクト」は、皆様方の基金で成り立つプロジェクトです。 それは、東京大学農学部全体を支えるための基金であります。個別の目的に特化した基金も従来から存在していますが、本プロジェクトはそれらの目的を包括し、農学部全体の発展を支えるためのものになります。農学を進化させていくきっかけにいたしますので、本プロジェクトのご理解とご支援を今後ともよろしくお願いいたします。編集後記 農学部は令和6年に創立150周年の節目を迎えました。本学が築き上げてきた有形無形の財産、そしてそこに込められた思いを、私たちはどのように受け継ぎ、農学の道を切り拓いていくのか。本号では「遺す」をテーマとしました。資源、文化、情報、技術など様々な角度から「遺す」ことの意味を考えてみたいと思いました。 「Yayoi Highlight」では、吉田丈人先生に、豊かな生物文化多様性を将来の世代に引き継ぐことの意義について書いていただきました。「農学最前線」では、三坂巧先生に動物の味覚についての研究、平瀬祥太朗先生には、沿岸生物のゲノム情報に関する研究についてご紹介いただきました。Yayoi 80な緑の革命が必要とされています。私たちは既にいち早くゼロカーボン、One Health、Nature Positiveに関する教育研究に取り組み、農学教育研究のGX、DXを進めてきております。 持続可能な社会を維持しながらWell-beingを向上させるため、人類は生物圏における共生関係を見直すべきであり、近現代で一時期見過ごされたバイオマス循環、生態系サービスを再生・活用して社会のシステムを再構築する必要があります。最先端の科学で生物のもつ秘められた力が解明されています。持続可能環境調和型の科学技術を確立し、生きものの力で社会を良くする。このスローガンのもと、農学部は伝統を尊重しつつ挑戦する精神で、150周年を迎えました。私たちは、150年前から この150年という節目の年を、皆様とともに次の150年先の地球のことを考えながら東大農学150+未来プロジェクト―生きものの力で社会を変える―東大農学150+未来プロジェクト80

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