の物多様性出典: https://j-adres.chikyu.ac.jp出典: https://www.chikyu.ac.jp/rihn/publicity/detail/20/3②: https://j-adres.chikyu.ac.jp③: https://iam-b.jp/project/theme5/④: https://www.pwri.go.jp/jpn/research/sip/sub-assignment_e1.html詳しくはこちら、①:https://www.chikyu.ac.jp/rihn/publicity/detail/338/ 唐突ですが、皆さんが「私たちの暮らしが自然と生物多様性に支えられている」と最近実感したのは、いつだったでしょうか?今日の朝ご飯という方も、少し前に旅行で訪れた土地の自然や文化という方もおられるでしょう。身近な自然を思い浮かべる方もいれば、遠く離れた場所の豊かな自然を思い出す方もいると思います。都市への人口集中が進む現在、暮らしのなかで自然と生物多様性を実感する機会は減っています。自然と生物多様性を実感できなければ、それらの大切さを感じることも難しくなるかもしれません。 自然と生物多様性は多くの恵みを与えてくれるだけでなく、時に、厳しい災い(災害)をもたらします。科学技術が発展するずっと前から、人は自然の恵みと災いに向き合ってきました。その歴史を通して築かれてきた「知」は伝統知・地域知と呼ばれます。近年急速に失われつつあるものの、農山漁村には今なお多く残っています。現代の科学的・学術的な知と伝統知・地域知は、どちらも社会課題の解決に貢献します。私たちは、伝統知・地域知の事例を日本各地から集めまとめて公開しました(URL①)。人と自然のつながりを再構築するためのヒントになればと期待しています。 自然と生物多様性が発揮する多様な機能を活かす施策として、グリーンインフラやNbS(自然を活用した解決策)が近年注目されています。自然の恵みを活かし災いを避けるための伝統知・地域知の現代版とも言えます。実際、伝統的なグリーンインフラの保全は、新しいグリーンインフラの創出や再生とともに重要であり、そのための研究や実践を現在進めています(URL②〜④)。 暮らしのなかの生物多様性は文化の多様性も育んできました。生物文化多様性という言葉は、生物と文化の多様性の一体性を表しています。伝統知・地域知の文化が生物多様性の保全と活用をもたらし、生物多様性が豊かな文化の源泉となってきたのです。生物多様性と文化多様性がともに急激に失われつつある現在、人と自然のかかわりを見直し、豊かな生物文化多様性を将来世代に引き継いでいくことが大切だと思います。グリーンインフラの一つ「雨庭」。都市での雨水浸透、心地よい景観の形成、多様な植物の保全などの機能を発揮する。伝統的な治水施設の一つ「霞堤」。洪水をしなやかに受け止めるだけでなく、多様な生物の生息地にもなる。撮影:一ノ瀬友博。土地利用は、地域の住まい方にとっても日本全体の国土管理においても重要です。日本各地における土地利用を、「災害からの安全度」と「自然の恵みの豊かさ」の観点から総合的に評価した研究成果を公開しています。福井県三方五湖の地域で、大人たちが昔に経験した水辺での遊びや暮らしの文化を子供たちに話し伝え、子供たちがそれを絵にする取組みが続いています。たくさん集まった絵をもとに絵本と映像絵本をつくりました。■伝統知・地域知世代を超えて受け継がれてきた伝統的な知識・知恵・技術(伝統知)や、地域に特有の知識・知恵・技術(地域知)は、各地の地域社会で蓄積されてきました。しかし、伝統知や地域知は、近年、急速に失われつつあります。科学的・学術的な知と伝統知・地域知が組み合わさることで、自然と生物多様性がもたらす多様な機能が地域で活かされ、地域の生物多様性の保全や再生が進むことが期待されます。■生物文化多様性生物と文化の多様性が一体となったもの。生物の多様性が文化の多様性をつくり、文化の多様性が生物の多様性を保全します。日本の里地里山の例など、人と自然のかかわりによって維持されてきた生物多様性があります。都市化やライフスタイルの変化などにより生物文化多様性が失われつつあることが、持続可能な社会の実現の危機となっていると指摘されています。■グリーンインフラ・NbS人々の暮らしや社会経済に多様な機能をもたらす自然や生物多様性を、インフラ(社会基盤)として表現したのがグリーンインフラであり、社会課題の解決策としてとらえたのがNbS(Nature-based Solutions: 自然を活用した解決策)です。どちらも、気候変動により激甚化・頻発化する災害のリスク低減、豊かな生物多様性の保全と活用、人口減少時代の国土管理など、従来の対策だけでは解決が難しい問題の新たな有効策として位置づけられています。図1 自然の恵みと災いからとらえる土地利用総合評価 (J-ADRES)図2 絵本「むかしのみずべは」・ 映像絵本「むかしのみずべは」教えて!Q&A
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