プロフィール

浜本 晋

浜本 晋

HAMAMOTO Shin

専攻 応用生命工学専攻 Department of Biotechnology
研究室 微生物膜輸送工学 (発酵研究所)寄附研究室 Micorbial Membrane Transport Engineering (Endowed Research Unit)
職名 特任助教 / Project Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

膜輸送タンパク質の仕組みの理解から新しい生命科学の開拓

 外界と生物の接触点である生体膜は、シグナル感知と受容、物質輸送、生体エネルギーの生産など生命現象の中心舞台です。全タンパク質の2〜3割が膜タンパク質と示唆されていますが、上市されている医薬品の6割は生体膜に存在する膜タンパク質を標的としていることからも生体膜で機能する膜タンパク質が重要であることを示しています。チャネル・トランスポーターと呼ばれる物質輸送を担う膜タンパク質の解析は通常のタンパク質よりも比較的難しいと言われています。当研究室では、独自に開発したチャネル・トランスポーターの解析システムを用いて、これまで機能が明らかとなっていない膜タンパク質の解明に成功しています。我々は、生体膜で展開される生命現象の理解とともに、膜タンパク質を解析する新規手法の開発を行なっています。さらに、得られた知見をもとに有用物質の生産や植物の光環境への適応能力の向上などをめざした応用研究を進めています。

教育内容

研究活動による自己の能力開発

 研究活動は学生の能力向上に大きな役割を果たしています。我々の研究室における活動は常に社会のニーズを見据えています。膜輸送タンパク質の応用により、有用化合物の生産や農作物の栽培の高効率化が可能と考えています。最先端科学の研究には様々な困難がつきものですが、教員や研究室のメンバーとのディスカッションから問題の解決を目指していきます。研究を進展させるためには高い情報収集能力も必要になります。文献に目を通すだけではなく、周辺分野の研究者との意見交換から思いがけない打開策が見つかることもあるので日頃からのコミュニケーションが重要となります。研究室内での研究報告や学会発表を通じてプレゼンテーション能力を鍛えられ、人に伝える力が養われます。我々の研究室における研究・教育活動により、社会課題を的確に捉える能力、コミュニケーション能力の高い人物の育成を目指しております。

共同研究や産学連携への展望

膜輸送タンパク質の応用研究による社会貢献

 当研究室では、膜輸送タンパク質の機能を電気生理学的に測定する技術を有しています。本技術は、一般的には真核生物の細胞膜上の膜輸送タンパク質の解析に用いられていますが、当研究室による独自の開発・改良により、真核生物の細胞内小器官の膜(細胞内膜系)や微生物細胞の細胞膜のような非常に脆弱な生体膜にも適用することを可能としています。膜輸送タンパク質は、医薬品の標的タンパク質となりうる重要なタンパク質ではありますが、細胞内膜系に局在性を示す膜輸送タンパク質の評価は非常に難しいことが知られています。当研究室では、これまでに多くの細胞内膜系で機能する膜輸送タンパク質の機能解析を行ない、化合物による活性制御機構を評価しています。
 細胞による有用物質生産では、細胞内での目的物質の蓄積が有用物質生産の律速になることが知られています。これらの有用物質を細胞外に排出させることで有用物質の生産性の向上と回収の効率化が期待されています。当研究室の知見と経験をもとに膜輸送タンパク質の改良や膜輸送タンパク質の機能を高い精度で定量的に評価することが可能と考えています。当研究室では、共同研究に高い意欲を持っています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  輸送体タンパク質、イオンチャネル、電気生理学、細胞内小器官、微生物細胞、環境応答
キーワード2  :  有用物質生産