プロフィール

海津 裕

海津 裕

KAIZU Yutaka

専攻 生物・環境工学専攻 Department of Biological and Environmental Engineering
研究室 生物機械工学研究室 Laboratory of Biological and Mechanical Engineering
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

賢い農業ロボットで人と環境にやさしい農業を実現する

 農業生産や、環境保全に貢献するロボット技術や自動化技術の開発を行っています.農業は食料生産や、景観の維持など我々の生活に欠かせない重要な役割を持っていますが、高齢化や人手不足などが問題になっています。また、農薬や肥料の過度な使用は自然環境や生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。農業においては、トラクタやコンバイン、田植機などにより、かなりの作業が機械化、自動化され、重労働が軽減されていますが、果実の収穫や、草刈り、日常の成長管理、作物の運搬など、手作業で行われている作業が多く残っています。これらの作業には、人間のもつ高度な認識能力や判断能力が必要とされるため、なかなか自動化が進んでいません。そこで、私は、コンピューターや通信技術、AI、ロボティクス、ドローン、自動運転といった先端技術を使ってこれらの問題の解決に取り組んでいます。近年特に力を入れているのは、草刈りや草取りの自動化です。田んぼや畑の周りのあぜの草刈りや、作物の周りに生える雑草の草取りを行う小型のロボットの開発を行っています。過酷な屋外で確実に動作するロボットの開発は、大変ですが、多くの人にその実現が望まれており、大きなやりがいを感じています。

教育内容

農学だけじゃない、工学だけじゃない人材の育成

 農学的、環境学的視点を持ちながら、ロボット工学や情報学の知識を備えた人材の育成を目指しています。これからの農業や環境保全は、植物の知識をもっているだけでは不十分で、コンピューターや自動制御を駆使することが必要になってきます。農業分野の公務員、研究者、機械メーカー技術者、農業コンサルタント、環境コンサルタントなどへの就職に特に役立つ教育を行います。3年次には、制御工学、材料力学、機械設計製図の講義を担当しています。卒論、修論の研究では、電子回路の作成、ロボットの設計、試作、プログラミング(Python、 Matlab、 LabViewなど)に関する指導を行います。東大の農場や日本各地の農場でドローンやロボットを用いてデータを収集することも行います。民間企業や国の研究所の共同研究も多いです。最近はAI(人工知能)を使った研究も行っています。AIによって、これまで困難だった農業の課題が解決することが期待されています。ワークステーションや、ドリルや溶接機、カッターなどの工作機械、3Dプリンタなどを駆使して、学生が自主的に課題に取り組むことができる環境を整備しています。

共同研究や産学連携への展望

農業の自動化の課題何でもトライします

 農業生産や、環境保全に貢献するロボット技術や自動化技術の開発を行っています.農業という、屋外環境において確実に作動するシンプルかつスマートなロボットの開発を目指しています。農業においては不整地や、傾斜、作物の存在、光環境の大きな変化、泥、ホコリなどの、自動車の自動運転とは異なる課題が多く残っています。また、機械の生産台数が少ないことから高価なセンサーやコンピューターの搭載が難しいという問題もあります。そこで、私は、一般のロボット技術の動向を見つつ、農業における課題にいかに活用するかということに取り組んでいます。これまでに、ローコストなRTK-GNSSを使った小型草刈りロボットや、水草管理ロボット、水田の草取りロボットなどの開発を行ってきました。また、GNSSの使えない果樹園や屋内においてLiDARを使ったSLAMを用いて高精度な走行制御を実現しています。ロボットに搭載するローコストなセンサー、通信技術、マイクロコンピュータの開発に関心のある企業、農業に関する自動化の課題を抱えた農業者の方々との共同研究を希望します。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  農業機械、ロボット、自動制御、機械設計、ドローン、AI、画像処理
キーワード2  :  農薬、肥料、水草、外来植物、湖沼、環境、安全、快適、省力化