プロフィール

角井 宏行

角井 宏行

KAKUI Hiroyuki

専攻 生産・環境生物学専攻 Department of Agricultural and Environmental Biology
研究室 生態調和農学機構 Institute for Sustainable Agro-ecosystem Services
職名 助教 / Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

花粉数を制御して人類に貢献する!

 「花粉」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?花粉症でつらい人には花粉なんて存在しない方がいいと思うかもしれません。しかし花粉は植物が子孫を残すために必須の細胞であり、動くことができない植物が遠くに移動できる数少ない手段でもあります。また、普段私たちが食べている穀物は花粉と胚のうが受精してできた種子を食べていますし、果実が実るためにも受精が必要となるため、花粉は私たちの生活に欠かせない存在ともいえます。花粉の数を自在に制御することができれば、花粉症の原因となる植物の花粉を減らしたり、農業上必要な植物の花粉を増やすことができるため、花粉数を研究することは植物学、医学、農学などさまざまな視点で重要かつ面白いテーマです。私は花粉の数がどのような遺伝子ネットワークによって決められているのかについて興味を持って研究を行ってきました。私たちの研究によって世界で初めて花粉数を制御する遺伝子RDP1を明らかにし、ゲノム編集によりRDP1を壊した変異体は花粉数が半減することを明らかにしました(Tsuchimatsu & Kakui et al. 2020 Nature Commun)。最近では無花粉スギの原因遺伝子を特定することにも成功しました(Kakui et al. 2022 bioRxiv)。また世界3大穀物のコムギの花粉にも興味をもって研究を行っているなど、最先端の分子生物学的手法を使って花粉数を制御するメカニズムの解明を目指し、農業への応用に向けて精力的に研究を進めていきます。

教育内容

花粉の謎を遺伝子レベルで解き明かして農学分野に貢献する!

 「花粉数」は植物にとって重要な形質であると同時に、植物学、医学、農学、進化学など多角的な学術的視点からも面白い形質です。しかし、どのような遺伝子の制御を受けて花粉数が決まるのか?その遺伝子経路はほとんど明らかになっていません。当研究室では遺伝子組換え、ゲノム編集、ライブセルイメージングなどの最新の分子生物学的手法を使って様々な植物で花粉数を制御する遺伝子の同定を行い、農業への応用展開を試みることで社会貢献を目指しています。このように私は花粉数に興味がありますが、花粉に限らず植物の面白そうな現象に広く興味がありますので、学生さんや研究者さんの方で興味のある形質があれば、ぜひ一緒にその原因遺伝子の特定や現象解明に取り組みたいです。少しでも興味を持っていただけましたらいつでもご気軽にご連絡ください!

共同研究や産学連携への展望

花粉形質やDNA解析についての新規技術開発に興味があります。

 「花粉数」を制御する仕組みを解き明かす上で、新規技術開発は不可欠だと考えます。実際に私は様々な植物の花粉数を効率的に数える手法を確立し (Kakui et al. 2020 Methods in Mol Biol; Kakui et al.、 2021 Plant Methods)、この手法を使って世界で初めて花粉数を制御する遺伝子の同定に成功し(Tsuchimatsu & Kakui et al.、 2020 Nature Commun)、無花粉スギの原因遺伝子を特定し(Kakui et al. 2022 bioRxiv)、現在では世界3大作物のコムギで花粉形質の解析を進めています。花粉形質以外にも新規技術開発は重要だと考えており、近年では、ゲノム編集個体を効率的に選抜できる新規遺伝子型判別法「PRIMA」を開発し、国際特許取得を行い (Kakui et al.、 2020、 チューリヒ大学と横浜市立大学での国際特許出願、 WO/2021/023896)、企業とのライセンス契約を行った経験があります (2022年、 島津製作所とのPRIMA法に関するライセンス契約)。このように研究を進める上で新規技術の開発や、企業との連携は必須であると考えており、お互いがwin-winの関係になれるような形での産学連携を積極的に行っていきたいと考えています。「花粉」は私にとってひとつ大きなテーマですが、PRIMA法に例えられるようにDNA解析手法の新規開発や、花粉以外にも植物の秘密を解き明かすような研究にも精力的に取り組みたいと考えております。ぜひご気軽にご連絡ください。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  花粉、花、植物、コムギ、シロイヌナズナ、ゲノム編集、分子生物学、ライブイメージング
キーワード2  :  気候変動、食糧問題、花粉症