プロフィール

松尾 隆嗣

松尾 隆嗣

MATSUO Takashi

専攻 生産・環境生物学専攻 Department of Agricultural and Environmental Biology
研究室 応用昆虫学研究室 Laboratory of Applied Entomology
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

 昆虫は動物の中でも圧倒的な種数を誇る多様性に富んだ分類群で、生態系を構成するメンバーの中でも最重要な位置を占めており、他の生物にも大きな影響を与えています。例えば多くの植物が昆虫に受粉、すなわち繁殖という生物にとって最も大切なプロセスをゆだねている一方で、植食性昆虫からの被食圧にさらされています。また、ヒトや動物の病気を媒介するものも多く存在し、温暖化や貿易による国をまたいだ侵入・拡散が懸念されています。このような重要性から海外の大学では「昆虫学科」が存在して精力的に研究が行われているのに対して、日本国内で昆虫を専門に扱う研究室は限られた大学にしか存在しません。我々はそのような数少ない昆虫学研究室の一つとして、昆虫にかかわる諸問題に対応できる人材を育成することを使命としています。

教育内容

 私個人としては、昆虫の生態、特に行動に注目した研究を行っています。「どうしてそのような行動が進化したのか?」という疑問には、常に2つの答えが存在します。一つ目は「その行動が~の点で適応的であったから」という機能面からの答え、二つ目は「遺伝子が~に変化したから」というメカニズムからの答えです。従来の行動生態学は一つ目の答え、行動の機能に注目してきました。私はそこに後者の視点、メカニズムからのアプローチを取り入れたいと考え、闘争行動や求愛行動、食性の進化などについて取り組んでいます。具体的な研究内容、所属する学生がどのようなことに興味を持って勉強しているか等についてはweb siteで詳しく解説していますのでご覧ください( http://www.utlae.org/ )。

共同研究や産学連携への展望

 昆虫の行動を研究していく過程で、画像処理によって行動を自動解析できるシステムを開発しました。このシステムは従来の自動行動解析とは異なる原理に基づいており、柔軟性が高い、すなわち様々な動物の解析に比較的容易に適用できると期待されています。例えば、動物園や養殖施設などの管理下における動物の異常行動(通常とは異なる行動パターン)を、事前に定義することなく検出するといった従来は難しかった画像モニタリング課題にも適していると考えています。このような機能を検証するための動画素材をご提供いただける方との連携研究を歓迎いたします。
 なお、私の研究活動はすべて公共への貢献を目的とした公的資金によって支えられています。また、パブリックドメインに属する知識だけが科学と文化の発展に寄与できると考えます。得られた知識の共有を妨げたり独占を目指すような形での連携は致しかねますのでご了承ください。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  昆虫、生態、行動、進化、適応、闘争、求愛、交尾、食性、産卵、食草、遺伝子、ゲノム編集、画像解析、行動の自動解析、深層学習
キーワード2  :  動物、行動、生態系、生物間相互作用、適応、進化、画像モニタリング、行動の自動解析