プロフィール

五月女 格

五月女 格

SOTOME Itaru

専攻 生物・環境工学専攻 Department of Biological and Environmental Engineering
研究室 生物プロセス工学研究室 Laboratory of Bioprocess Engineering
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

自然の恵みを、無駄なく、おいしく、安全に

 世界では今なお、8億人以上の人が栄養失調状態にあると言われていますが、その一方で世界では生産された食料の3分の1が廃棄されていると言う報告もあります。食料が廃棄される理由は様々ですが、大きな理由の一つとして、不適切な条件での貯蔵・保存・流通による腐敗や品質低下が挙げられます。世界の人口増加は続いている一方で、更なる食料増産は難しくなってきており、今後は生産された食料の廃棄を削減し更に有効に利用していくことが求められています。そのためには食料を適切に保存する技術や品質・安全性を評価する技術の研究開発、普及が非常に重要となります。
 私たちの研究室では、自然の恵みである食べ物を、無駄なく、おいしく、安全に頂くための研究と技術開発に取り組んでいます。特に最近は、食品の粉を作る技術や粉を利用するための技術を中心に研究をしています。よりおいしく、栄養価の高い食べ物を作ることができる食品の原料粉末の製造方法や、簡単にお湯や水に溶かせるインスタントスープや飲料の粉末を製造する技術について研究をしています。

教育内容

食は粉から

 一次産業で生産された食料は、今日ではそのほとんどが、何らかの保存や加工を経て、私たちのもとに届けられており、私たちは日々、多種多様な加工食品を利用しています。食品を加工すると、食品素材には何らかの物理的、化学的な変化が生じます。また食品素材は、もともとは生物ですから、そこには生理代謝が起こることもあります。加工や貯蔵によって食品に起こる、エネルギーや物質の移動、生理代謝などの現象を解明し、そこから得られた知見をもとに、より良い加工技術や貯蔵技術の設計、デザインをしていくことが私たちの研究テーマです。
 食品加工と一口に言っても、その内容は多岐にわたりますが、現在、主に取り組んでいる内容は、食品素材の粉末化と、それに伴う食品中の成分の変化、また加工特性の変化の解明です。また、粉末と水などの溶媒の相互作用や粉末粒子の力学的な挙動について研究することにより、ダマになりにくく加工しやすい粉末素材の開発を目指しています。
 また近年は、3Dフードプリンターによる食品の成形に関する研究を実施しています。食品素材を意図したとおりの形状に成形できるか、実験とシミュレーションの両面から研究を進めています。

共同研究や産学連携への展望

プロセス研究で食品製造の効率化・高品質化

 これまで、工学的単位操作に着目した農産・食品加工プロセスに関する研究を実施してきました。扱ってきた単位操作としては、加熱プロセス、また粉砕・造粒などの粉体プロセスなどがあります。
 加熱プロセスに関しては、微細水滴含有過熱水蒸気(アクアガス)による農産物の一次処理や調理加工について、熱物質移動など拡散現象とそれに伴う食品素材の機能性変化などに着目した研究を実施してきました。
 粉砕プロセスに関しては、ハンマーミルやボールミルなどを利用した衝撃式粉砕や、超音速ジェットミルなどを利用した気流式粉砕などの各種粉砕方法とその条件が、食品粉体の成分などに与える影響について検討してきました。また造粒プロセスに関しては、主に流動層造粒プロセスにおけるバインダー添加条件と顆粒形成過程に着目した研究を行っており、水蒸気と水から構成される気液二相バインダーにより、プロセスの所要時間短縮およびバインダー添加量の低減を実現した新たな造粒技術を開発してきました。
 また近年は、3Dフードプリンターによる食品の成形に関する研究を実施しています。食品素材を意図したとおりの形状に成形できるか、実験とシミュレーションの両面から研究を進めています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  食品、粉体、顆粒、製粉、造粒
キーワード2  :  食品保蔵、食品廃棄、プロセス効率化