プロフィール

龍原 哲

龍原 哲

TATSUHARA Satoshi

専攻 森林科学専攻 Department of Forest Science
研究室 森林経理学研究室 Laboratory of Forest Management
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

持続可能な森の利用方法を探求します

 我が国には木材を生産するため、人手で植林して多くの人工林を造成してきたため、現在、木材を収穫可能になった人工林が増えています。しかし、外国から輸入されてくる木材は同じ品質のものをまとまった量購入することができるため、日本で生産する木材はなかなか高い価格で購入してもらえません。そのため、折角造成した人工林が十分活用されていません。また、人工林の年齢構成も50~60年に集中した山形の分布になっています。そこで、木材の生産を行っている地域を対象とし、地域全体が協力して木材を安定的に供給できる仕組みを作った場合に、地域の人工林から持続的に供給できる木材の量がどのくらいかを予測しています。現在、木材価格が低下しているため、森林の育成にかかる経費に対して、木材を売却した利益が少ない人工林が増加しているため、一度に作業をする面積をある程度の面積になるように森林をまとめたり、同じ木から少しでも高価格で売れる丸太を取るように工夫したりして、収益性を向上させることを提案し、収益が得られる人工林を木材生産の対象、それ以外の人工林は環境を維持するための森林と考えています。

教育内容

森林を計測し、未来の姿を予測してみよう

 森林資源を把握したり、森林生態系を研究したりする上で最も基礎的な作業である森林や樹木の計測方法、それらの成長予測の方法、空間的な森林情報の解析方法について講義、実習を行っています。
 学部4年生に対しては卒業後、技術者として必要な基礎的技能を習得できるように卒業論文の作成を指導します。決められた課題を探求する中で、問題を解決していくために必要な能力、例えば課題と関連する文献の探し方、作業計画の立て方、データの解析方法、解析結果を評価する方法などを養成します。
 修士課程の学生に対しては修了後、技術者として必要になる技能を習得できるように修士論文の作成を指導します。研究を進める中で、課題を解決するための手順を独自に考え、自力で問題を解決できる能力を養成します。既存の文献を読むことによって、自分が行っている研究課題がこれまでの研究史の中でどのように位置づけられているのかを理解し、論文の作成を通じて得られた結果に対して論理的に考察する能力を養成します。
 卒業生、修了生は林野庁、環境省などの国家公務員、地方公務員、コンサルタント会社、製紙会社、林業会社のほか、IT業界、金融業界にも就職しています。

共同研究や産学連携への展望

森林資源を活用し、山村地域の活性化に貢献します

 持続的な木材生産が可能な収穫計画を策定するなどの森林資源計画に関する研究、森林資源を把握したり森林の成長量を予測したりする森林計測に関する研究、森林経営の評価や森林の公益的機能の評価などを行う森林評価に関する研究を行っています。地域の人工林を対象として、森林に関する情報のほか地形、道路などの情報を地理情報システム(GIS)に蓄積し、これらの情報を用いて、持続可能な収穫計画を策定し、地域全体の人工林から持続的に供給できる木材生産量を予測しました。その結果、収穫する林齢を多様にすることにより、地域としての収穫量をほぼ一定の範囲に収められることを示しました。また、スギ・ヒノキ等の人工林を対象として、成長過程を予測できるモデルを開発しました。これにより、どのような管理をすれば森林がどのように成長し、何年でどのくらいの木材を収穫できるかを予測することができますし、逆に目標とする森林があれば、その状態に近づけるための管理方法を検討することもできます。森林管理、森林計測の分野に新たに参入する企業と共同で、研究成果を実際の森林管理の現場に適用することも目指しています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  森林、管理、持続可能性、計測、評価
キーワード2  :  山村振興、気候変動、持続的な木材生産