プロフィール

津釜 大侑

津釜 大侑

TSUGAMA Daisuke

専攻 附属アジア生物資源環境研究センター Asian Research Center for Bioresource and Environmental Sciences
研究室 植物資源ゲノミクス研究室 Laboratory of Genomics of Plant Resources
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

植物遺伝資源の利用・開発により適材適所の植物利用の実現を目指すゲノミクス

 人口増加と環境破壊は世界規模で進んでおり、植生を回復させ、労力と資源の要求量の少ない持続可能な生産体系を構築することは重要です。これを実現させるには、植物を上手に使うことが必要です。私たちは、様々な植物の様々な特徴、特にストレス耐性、に関わる遺伝子を明らかにし、これを利用して植物の成育や収量を改善することに取り組んでいます。これを通じて適材適所な植物の利用の実現に寄与することが目標です。近年では、穀類中最高レベルの高温耐性と乾燥耐性を持ちインドなどで栽培されるトウジンビエという作物から有用遺伝子を単離することを試みています。また、モデル植物であるシロイヌナズナを用いた基礎研究で見出した「たくさん触れられると枯れてしまう変異体」に関わる遺伝子を応用して「麦踏み:麦が踏まれると強くなる現象」のメカニズムを解明することを試みています。ゲノム編集等の遺伝子工学的な実験が研究の主体ですが、次世代シークエンシングから得られる多量のDNA配列データやバイオインフォマティクスも活用しています。3Dスキャナや分光学的手法・機器を用いて植物の性状の解析を省力化することも試みています。機械学習等も今後利用したいと考えています。

教育内容

思いやりのある科学人を育成する

 モチベーションは重要であると考えており、学生さんの研究指導おいても本人の希望や自発性を重視しています。実験・解析には失敗がつきものであり、それを成功させる、あるいは別の方法で目的を達成するためには、粘り強さ、柔軟さ、強かさ、胆力、コミュニケーション力、思考力、行動力などが必要です。また、日々の生活やプレゼンテーションにおいては周囲の人たちの文化や状況に配慮することが大変重要です。これらを培っていただく助けとなるような指導を行いたいと考えています。研究科附属のアジア生物資源環境研究センターに所属していることもあり、私の研究室のメンバーの多くは留学生です。当センター全体としても留学生を多く受け入れており、アジアの遺伝資源や不良土壌を用いた研究や、専修・専攻と独立の交流行事を行っています。異文化や英語に触れる機会には事欠きません。研究室を主宰してからの期間が短く人材輩出の実績は多くありませんが、元指導教員であり現上司にあたる高野哲夫先生(2022年度末に退官予定)の研究室のOG・OBが産官学の様々な企業・機関で活躍しており、その人脈も活かしながら今後人材育成・輩出に努めたいと考えています。

共同研究や産学連携への展望

アジアを中心とした国際共同研究・植物ゲノミクス・データ解析

 インドや中国などの研究者と共同でストレス耐性植物・作物のゲノミクスや現地の不良土壌に関する研究を実施しています。他のアジア生物資源環境研究センターの教員もアジアの国々の研究者・研究機関と共同研究を実施しており、当センター全体としてそのような国際共同研究・交流の維持・促進に努めています。このような経験や環境は私や当センターの強みであると考えています。私は植物生理学・分子生物学・遺伝学を専門とし、(研究上は必ずしも良いことではないかもしれませんが)様々な植物を研究対象としており、植物の成育の仕方や諸性質がどのような遺伝子や分子に因っているかある程度推測することができます。技術面では、植物遺伝子の単離と機能解析(遺伝子組換えやゲノム編集を含む)のための基本的な実験に習熟しており、次世代シークエンシング由来のデータをはじめとする中~大規模データを解析した経験も有しています。新たな作物品種・生物資源や作物栽培法の創出などにこれらのことが活かせれば幸甚と考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  植物、遺伝子、ゲノミクス、ストレス耐性、バイオインフォマティクス
キーワード2  :  気候変動、食糧問題