プロフィール

山中 大介

山中 大介

YAMANAKA Daisuke

専攻 食と生体機能モデル学寄付講座 Laboratory of Food and Physiological Models
研究室 食と生体機能モデル学研究室 Laboratory of Food and Physiological Models
職名 特任助教 / Project Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

アミノ酸が“栄養素の変換”を介して健康状態をコントロール

 アミノ酸はアミノ基とカルボキシル基を持つ化合物ですが、そのうち20種類のアミノ酸はタンパク質の材料として重要です。そのため、これらのアミノ酸の栄養素としての価値は、タンパク質の材料としてどのくらい良質かという観点で評価されてきました。一方で、アミノ酸は核酸代謝系などのさまざまな代謝産物(他の栄養素)に変換されることもわかっています。代謝産物の全体をメタボロームと呼びますが、メタボロームをコントロールする因子の一つとしてアミノ酸が近年、注目されています。アミノ酸はヒトや動物の成長や身体機能の維持に必要であることは古くから知られていますが、私たちを含む複数の研究グループは、アミノ酸が正常な脂質代謝にも重要であることを報告しています。そこで私は、“「アミノ酸」が「メタボローム」を介して「脂質代謝」をコントロールする”という仮説を検証するべく、特に肝臓(脂肪肝)に着目して研究を進めています。ラットや培養肝細胞を用いた研究から、アルギニンやメチオニンといった特定のアミノ酸が不足すると、それに対応する一部の核酸代謝系が低下、脂肪肝が生じることなどから、「アミノ酸低下→核酸代謝低下→脂肪肝」という制御系が存在する可能性を指摘しています。この研究は、アミノ酸が身体機能を調節するしくみを学術的に明らかにするだけでなく、脂質代謝異常の診断・治療の新しい方法を開発する研究に発展できると期待しています。

教育内容

君の好きなように研究してみないかい?

 学位論文の研究指導が私の主な教育活動です。基本的には「自分で考えて、動ける人」の育成を目標にしています。つまり、先生の手足として動く人ではないということです。社会に出たら上の人に言われたことをこなす仕事も多いかもしれませんが...それしかできないと、一生誰かに使われる人生しか歩めませんので、「自分で考えて、行動する」ことで価値のある仕事ができるたくましい人間になって欲しいと考えています。もう一つ大事な観点として、「学生さん自身の興味」も重視しています。研究には膨大なエネルギー、熱意が必要です。興味がないとそれも出てきません。ですので、研究テーマの設定時にも学生さんが興味を持てるかということも話し合いながら決めています。「興味のあることを何でも研究していいよ」というのが理想ですが、一般向けに書いた研究内容が私の専門分野です。あまりにかけ離れると指導もできなくなるという現実もあるので、理想との乖離はありますが、「アミノ酸などの栄養素」や「脂質代謝などの身体機能」に興味がある学生さんが来てくれると嬉しいです。直近の修士論文では、非アルコール性脂肪肝炎のモデル動物でアミノ酸によるメタボローム変動や脂肪肝形成を解析して、学位論文に仕上げてもらいました。

共同研究や産学連携への展望

新しい研究の“種”を募集中

 動物や培養細胞にさまざまな栄養素あるいは化合物を投与する実験系や、それによって起こる栄養素・代謝産物の分析系(実際にはLC-MS/MSを用いています)が私の研究の強みだと考えています。また脂質分析やウェスタンブロッティングなどの一般的な生化学分析も日常的に行っています。ですので、ご興味のある栄養素や化合物があり、その動物あるいは細胞における効果を調べたい企業さんでしたら、共同研究をする可能性をぜひ探りたいと考えています。新しい研究の“種”はつねに模索していますので、そのような共同研究から新しい発見が生まれることを期待しています。ぜひ!

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  栄養、アミノ酸、シグナル、メタボローム、脂質代謝、脂肪、肝臓、脂肪肝、動物、ラット、肝細胞
キーワード2  :  脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、NAFLD、NASH、生活習慣病