プロフィール

柳澤 修一

柳澤 修一

YANAGISAWA Shuichi

専攻 附属アグロバイオテクノロジー研究センター Agro-Biotechnology Research Center
研究室 植物機能工学研究室 Laboratory of Plant Functional Biotechnology
職名 教授 / Professor

一般の方へ向けた研究紹介

少ない肥料ですくすく育てる

 植物は、空気中の二酸化炭素や土壌中の無機塩を栄養として吸収し、これらを用いて糖やアミノ酸などの有機物を合成して成長しています。このような植物が持つ無機物から有機物を生合成する能力に依存して人類は食料を確保しています。農業では窒素化合物やリン酸塩を栄養(肥料)として与えることで高い作物生産を得てきました。しかし、一方で、肥料の使用は水環境の汚染や温暖化ガスの発生を引き起こすなどの問題を引き起こしています。植物において栄養の吸収や有機物の合成を制御している仕組みを解き明かし、それによって作物の栄養の吸収効率や利用効率を向上させることを目指しています。これまでに、植物にとって最も主要な窒素源である硝酸イオンが窒素吸収を調節している仕組みを解明し、また、硝酸イオンが植物の成長を促進する仕組みも明らかにしています。また、窒素とリンをバランスよく獲得している仕組みなども解明しました。更に、得られた知見に基づいて、窒素栄養が乏しい環境でイネの成長を向上させる技術を開発しました。

教育内容

分子メカニズムの解明から植物の有用機能の強化へ

 植物の物質生産の制御メカニズムの解明を分子生物学的実験手法や生化学的実験手法を用いた解析やトランスクリプトーム解析を中心としたマルチオミクス解析などにより進めています。特に、物質生産の制御に関わる転写調節因子の解析を行なっています。また、農業への応用を見据えて、優良形質をもたらす自然突然変異の同定を行なっています。学部講義では植物機能制御学を、大学院講義では植物機能工学を担当しています。卒業生は、東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程・博士課程に進学したり、カリフォルニア大学の博士課程に進学したりしています。また、卒業生は日本学術振興会特別研究員や農業・産業技術総合研究機構の研究員として就職する一方で、カネコ種苗、キューピー、アサヒビール、麒麟麦酒、英グラクソ・スミスクライン、中外製薬、日本総研、ボストンコンサルティング、新日鉄住金化学(株)など多様な民間会社に就職しています。大学院生の研究は、Nature Communications、 Communications Biology、 Plant Cellなどで公表しています。

共同研究や産学連携への展望

遺伝子組換え技術やゲノム編集技術を用いた作物収量の向上

 遺伝子組換え技術やゲノム編集技術を用いて作物の収量向上を試みています。新規重要因子や優良形質をもたらす遺伝子多型の同定から閉鎖系温室での形質評価までを得意としています。野外(隔離圃場)での形質評価や収量調査が今後の課題となっています。窒素に関連した研究成果は原著論文(Curr. Biol. 32:5344-5353、 2022; Science 377:1419–1425、 2022; New Phytol. 227:1434-1452、 2020; Nat. Commun. 9:1376、 2018; Nature 545:311-316、 2017; Nat. Commun. 4:1617、 2013; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101: 7833-7838、 2004など)で公表しています。また、リンに関連した研究成果の原著論文は、Nat. Plants (4:1089-1101、 2018)などで公表しています。更に、窒素栄養が乏しい環境でイネの成長を向上させる技術は特許申請済みです。

研究概要ポスター(PDF)

最近のプレスリリース

ゲノム編集を用いたイネの窒素利用効率の向上方法の開発

キーワード

キーワード1  :  植物、窒素肥料、遺伝子発現制御、転写因子、ゲノム編集
キーワード2  :  食料問題、気候変動