担当教員
眞鍋 昇 (東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場教授)
李 俊佑 (東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場助教)

概要

「牛乳は国産だ!」というテレビコマーシャルにあるように私たちが毎日飲んでいる牛乳は国内で生産されている国民の健康増進、特に赤ちゃんの成長と健康に欠かせない食品です。牛乳の半分は北海道で生産され、大半はバターやチーズに加工され、国民が毎日飲んでいる生乳(年間約400万トン)の多くは東北圏と関東圏で生産されています。草食動物の乳牛は、牧草だけだと毎日約50キロ、穀物を与える場合は毎日約10~20キロの牧草と約5~10キロの穀物を食べて、約20~30キロの牛乳を生産します。福島第一原子力発電所事故のため東北圏と関東圏の広範な地域の牧草が放射性核種で汚染されてしまいましたので、安全な牛乳を生産できる飼料や飼養管理方法を実証的に示して酪農の再興や乳製品の風評被害の防止を支援するために本プロジェクトを遂行しています。

成果

2011年9月5日更新 牛乳への移行調査

乳牛の個体別に調製した給与前のヘイレージ

乳牛の個体別に調製した給与前のヘイレージ

放射性核種で汚染されてしまった牧草(ヘイレージ)だけで乳牛を飼育し、牧草に含まれる放射性核種がどの程度牛乳中に混入するのか明らかにし、放射性核種の移行係数を算出しました。ついで牧草の給与を止めた後、放射性核種を含まない輸入飼料だけを与えることで牛乳には放射性核種が含まれなくなることを実証しました。成果の一部は「橋本健ら. 福島第一原子力発電所事故後の茨城県産牧草を給与した牛の乳における放射性核種物質濃度. Radioisotopes, 60 (8): 335-338, 2011」に公表しました。

用語解説

(注1) ヘイレージ:

生育した牧草を刈り取った後乾燥させ、これを円筒上に成形したものをプラスチックフィルムでパッキングして嫌気発酵させた草食家畜用の粗飼料のことで、乳牛などの健康を保つために欠かせません。

問い合わせ先

東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場
教授 眞鍋 昇
Tel: 0299-45-2606
Fax: 0299-45-5950
E-mail: amanabe@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp