◆社会的敗北ストレスによりマウスの胆汁酸代謝のバランスが崩れ、デオキシコール酸など毒性の強い胆汁酸が増加することを明らかにしました。
◆非侵襲的にサンプリングできる糞便中の胆汁酸を用いて、精神的ストレスに起因する消化管症状を軽減する食品のスクリーニングへの可能性が開けました。
図1 社会的敗北ストレス負荷がマウスの胆汁酸産生に及ぼす影響
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脳と腸は、神経系、内分泌系、免疫系、さらには腸内菌叢をも介して双方向的なネットワーク「脳腸相関」を形成しています。精神的ストレスモデルである社会的敗北ストレスを負荷したマウス1, 2)を用いて、青木らはストレスにより盲腸内容物中の代謝物や腸内細菌叢が変動していることを報告しました(日本食品免疫学会第10回学術大会)。盲腸内容物のメタボローム解析の結果、ストレスを負荷したマウスではコール酸が有意に増加していました。本研究ではUPLC-MSにより社会的敗北ストレスを負荷したマウス糞便中の胆汁酸の解析を行うことでストレスが各種胆汁酸生成に与える影響を明らかにしました。ストレスを与えられたマウスでは腸内細菌が産生する二次胆汁酸の一つ、デオキシコール酸が有意に増加することが確認されました。
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
鈴木 チセ (すずき ちせ)
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