図1 (昨年度の研究成果)圧負荷心臓におけるTRPC3-Nox2タンパク質複合体形成を介したコラーゲン産生増加(心臓の硬化)

高血圧や大動脈狭窄による血行力学的な圧負荷を心臓が慢性的に受け続けると、心筋は肥大するものの心臓組織全体的に硬くなるため、十分な拡張ができなくなり、やがて機能不全に至ります。心臓が硬くなる原因として間質の線維化(コラーゲン線維の蓄積)が知られています。心筋細胞および心線維芽細胞膜では持続的な圧負荷によりTRPC3チャネルタンパク質と活性酸素の生成酵素(NADPHオキシダーゼ(Nox2))の安定な複合体が形成され、機械的伸展刺激によるTRPC3チャネル活性化を介したNox2活性化が酸化ストレスの原因となる活性酸素や親電子物質の生成を促進し、結果的にコラーゲン産生を増加させることを明らかにしました(Kitajima & Tomita T et al., Sci. Rep. 2016参照)。