2008/11/25 |
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発表者: 村田幸久
(
獣医学専攻・助教)
癌は周囲組織から新たな血管を引き寄せ酸素や栄養を補給することで急速に成長する。本研究ではマウスを用いた実験で、腫瘍血管の透過性や成長を強力に抑制する新たな機構を発見し、応用することで癌成長の抑制に成功した。
急速に成長する固形癌は周囲から新たな血管を引き寄せ酸素や栄養を補給している。近年、血管内皮細胞 ( 注 1) 成長因子 (VEGF) の阻害により癌への血管新生を抑制し癌の成長を阻止する方法に注目が集まっている。
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻助教 村田幸久の研究グループは、 今回血管新生を阻止する新たな機構がマウスを用いた実験で発見した。プロスタグランジン ( 注 2) は炎症を起こした組織に産生される物質で、癌の成長にも関わることが知られている。その一種であるプロスタグランジン D2 の受容体が、固形癌へ新生してきた血管の内皮細胞に豊富に発現しており、刺激すると血管の透過性や成長が抑制され、癌の成長速度が抑えることが明らかにされた。癌抑制の新たな経路が解明されたことにより今後新たな抗癌剤としての応用が期待される。 本研究成果は日本学術振興会の科学研究費補助金によるものである。
( 注 1) 血管内皮細胞:血管の内側を覆う1層の細胞層、酸素や栄養を含む物質の透過性を調節する。
( 注 2) プロスタグランジン:細胞膜脂質から産生される生理活性物質。炎症反応の主体をなす。