第37回 東京大学農学部公開セミナー
公開セミナー
生物情報を活用した新しい農学研究
‐インフォマティクスの身近な話題への応用‐
 2009年11月28日(土)13:30~16:30

 

プログラム
ゲノム育種によりトラフグの優良品種作出をめざす
附属水産実験所  教授  鈴木 譲

トラフグは英語でもfuguで通用する。Fugu Genome Projectにより全ゲノムが解読されて一躍有名になったからである。この魚は東アジアにしか生息しておらず、強い毒をもつことから海外ではあまり食用にされないが、日本では高級魚であり、重要な養殖対象種でもある。そのためゲノム情報を水産研究に活用できるのはほぼ日本に限られている。しかし継代飼育と遺伝情報の分析の両方ができる施設は数えるほどしかなく、その先頭を走っているのが水産実験所である。ここではゲノム情報を利用して有用品種を作り出そうというトラフグのゲノム育種研究の現状を紹介する
fugu
植物の環境ストレス応答機構の解明と分子育種への応用
応用生命化学専攻  教授  篠崎 和子

植物は干ばつや塩害、低温や高温等の劣悪環境状態になると、種々の耐性遺伝子群を働かせることで環境に適応して生存している。これらの耐性遺伝子群の働きを調節している転写因子の遺伝子を突き止めた。この遺伝子を改変した植物は、これまでにない高いレベルの環境ストレス耐性を示した。この技術は種々の作物に応用できることが示され、地球規模の環境劣化に対応できる作物の開発への応用が期待される。植物の環境ストレス耐性の獲得機構の解明を目指した基礎研究とこれらの成果を利用した環境耐性作物開発を目指す応用研究を紹介する。

kankyousutoresu
植物医科学の展開と生物情報の活用 ‐始まった植物医師養成と植物病院ネットワーク構築‐
生産・環境生物学専攻  教授  難波 成任

植物病によって毎年食糧の1/3が失われており、これは飢餓人口を養う量に匹敵する。社会経済のグローバル化に伴い、食の安全や食料確保に対する関心は一段と高まり、増大する輸入農作物と共に流入し、国内生産の障害となる植物病防除体制の強化・充実が迫られている。植物病の発生源は家庭菜園や市民農園であることも多い。基礎研究に基づく「知」と、臨床現場で求められる「知」の乖離を埋めるツールとして、生物情報は植物医科学の臨床的展開に欠かせない。先端技術を駆使して得られた生物情報の活用により、植物病の原因を短時間で判定する技術開発例のほか、いよいよ始まった植物医師の養成や植物病院ネットワークの展望について紹介する。


shokubutu
アグリバイオインフォマティクスとは ‐教育研究プログラムの活動について‐
応用生命工学専攻  教授  清水 謙多郎

アグリバイオインフォマティクスとは、生命現象を解明するための情報科学であるバイオインフォマティクスと、農学生命科学(アグリバイオ)の実践的研究の融合である。農学生命科学研究科では、現在実施されているアグリバイオインフォマティクス教育研究プログラムの活動について紹介する。
 
司会・進行    応用生命工学専攻  教 授  清水 謙多郎 

開催のご案内
日  時 2009年11月28日(土)13:30~16:30
場  所 東京大学 弥生講堂・一条ホール
 東京都文京区弥生1-1-1
 地下鉄南北線 「東大前」下車 徒歩1分
 地下鉄千代田線 「根津」下車 徒歩7分
お車でのご来場はご遠慮ください
対  象 どなたでも参加できます。
定  員 300名(当日先着順、事前登録不要)
参加費 無料
受講証 受講証を発行いたします。
ご希望の方は、120円切手をご持参の上、当日受付でお申込ください。

主催・共催
主  催 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部
共  催 財団法人 農学会

問い合わせ先
東京大学農学系総務課 総務チーム 総務・広報情報担当
〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1
電話 03-5841-5484, 8179
E-mail koho@ofc.a.u-tokyo.ac.jp

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