プロフィール

高橋 伸一郎

高橋 伸一郎

Takahashi Shin-Ichiro

専攻 応用動物科学専攻 Department of Animal Resource Sciences
研究室 動物細胞制御学研究室 Laboratory of Cell Regulation
職名 教授 / Professor

一般の方へ向けた研究紹介

動物の健康な一生に必要な仕組み、ホメオスタシスを科学しています

 私たちは、逆生理学的アプローチにより、これまで全く知られていなかった動物のホメオスタシス(恒常性維持)機構やその異常によって起こる種々の疾病の発症機構を明らかにしてきました。培養細胞系を利用して明らかとなった生命現象を個体で確認するという手法で研究を進めてきました。特に、アミノ酸などの栄養因子やインスリン様活性を有しているホルモンに注目し、これらが動物の発生、発達、成長、成熟、代謝制御、老化に果たす役割を明らかにし、その成果を、動物の健康維持や高品質化に役立てる研究を推進しています。哺乳類に限らず、酵母、線虫、昆虫、魚類などを用いた研究を進め、比較生物学的に生命現象の普遍性と多様性、そしてその意義を明らかにする研究・教育を展開しています。今までの生物化学的な手法にとどまらず、数理学や経済・社会学などを導入して、社会に役立つ俯瞰的な研究を進め、応用的な観点からも、ヒトを含めた生物の未来に寄与できる科学者の育成を目指します。

教育内容

協創して新しい観点から動物の健康な一生を実現する研究に興味のある人、ぜひ訪ねてください

 私が担当する講義では、動物やそれを構成する細胞おける生体シグナル、内分泌代謝制御などについて、俯瞰的・総合的なものの見方、流れとその調節を捉える感覚を育むことを目標にしています。可能な限りgroup studyやactive learningの手法を取り入れ、双方向なインタラクションを大事にしています。研究では、栄養学の領域で、動物を用いて物質代謝を制御するアミノ酸シグナルを題材に、また、内分泌代謝学の領域では、インスリンやこれに類似したホルモンであるインスリン様成長因子(IGF)の生理活性の調節機構を題材に、独創的な研究を展開しています。そのために、それぞれのメンバーが、自分で考え、課題を見つけ、解決法を開発・選択して、実践する姿勢、そして、メンバーがお互いのために何ができるかを考え、メンバー同士で「心」を遣う、この二点を可能とする環境構築に努力しています。更に、研究は競争ではなく協創が重要であるという哲学のもと、日本に限らず、世界のいろいろな研究者とネットワークを築いています。本研究室の卒業生・修了生、研究員は80名を越えますが、専門領域がカバーする機関や企業、コンサルティング会社や本雑誌の編集など、就職先は多岐に渡っています。

共同研究や産学連携への展望

食品・栄養・代謝の観点からSociety5.0を超える地球のことを考えるSocietyX実現のための活動に加わってくださる同士を募集中です!

 人口増加や環境破壊、温暖化が急速に進む地球において、他の生物と共存共生を図りながら、地球上に人類が生き残る道を見出すことは、将来の人類に対する私たちの責務です。これを解決するのも、今後の農学の大きな使命と考えています。私たちは、「One Earth Guardians」(地球医)を育成するための教育研究プログラム「One Earth Guardians育成プログラム」を農学部内に2017年に立ち上げました。更に、現在、広報室長として、農学部機関紙「弥生」の発行、公開セミナーの企画開催などを中心に、科学交流ステーションの設立を手掛けています。このステーションでは、Amgen Biotech Experienceの活動をはじめとした早期教育プログラムやリカレント教育プログラムの企画運営、企業への情報供給、一般社会への働きかけなどの中心に展開していく予定です。ここまでご紹介した研究教育活動を統合して(図参照)、内閣府のムーンショット目標5内のプログラム「自然資本主義社会モデルを基盤とする次世代型食料供給産業の創出:AI nutritionによる未来型食品の開発」を推進しており、この哲学に賛同し活動してくださる企業や仲間たちを募集中です。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  動物、細胞、生体シグナル、内分泌、代謝、栄養因子、ホルモン、アミノ酸、インスリン、インスリン様成長因子、ホメオスタシス、恒常性、発生、発達、成長、成熟、代謝制御、老化、健康、高品質化、哺乳類、酵母、線虫、昆虫、魚類、比較生物学、普遍性、多様性、AI、DX、nutrition、寿命
キーワード2  :  人口増加、環境破壊、温暖化、共存共生、One Earth Guardians、地球医、広報、科学交流、Amgen Biotech Experience、Society5.0、SocietyX、早期教育、カレント教育、自然資本主義、次世代型、食料、未来型、未利用資、新規資源、食品ロス、非侵襲的、オミックス、アミノ酸プロファイル、健康、寿命