プロフィール

髙梨 秀樹

髙梨 秀樹

TAKANASHI Hideki

専攻 生産・環境生物学専攻 Department of Agricultural and Environmental Biology
研究室 植物分子遺伝学研究室 Laboratory of plant molecular genetics
職名 特任准教授 / Project Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

有望作物ソルガムの高度利用に向けた基礎・応用研究に邁進

 ソルガム(別名タカキビ、コーリャン、モロコシなど)はストレス耐性と光合成能力の高いイネ科一年草で、世界五大穀物に挙げられる重要作物であるにも関わらず、いまだ改良の余地が多く残る、ある意味"粗野な"作物です。ソルガムの利用方法は食料・飼料(子実)、バイオマスエネルギー(茎葉部や搾汁液等)、サイレージ(茎葉部)等と多岐にわたっています。それぞれの用途において、生活習慣病やクリーンエネルギー等の現代社会の課題解決の一助となる役割を果たしており、用途に応じた多様な表現型の開拓および育種によるファインチューニングへの要求は年々高まっています。私が所属する研究グループではソルガムの持つ潜在能力に着目し、ソルガムを種々の用途で利用する際に重要になる各種形質について、それらを制御する責任遺伝子の同定と機能解明を中心として、ゲノム情報を活用した育種を通じて有望作物ソルガムの今後の高度利用に向けて精力的に研究を行っています。

教育内容

実際の研究に用いる技術・手法を早期に経験、即戦力へ

 私が担当している農場実習では、多様性に富むソルガムの遺伝資源集団を栽培し、自分の手で各種形質評価を行い、そのデータを用いてゲノムワイド関連解析を行うことで各種形質を制御する遺伝子座を検出するといった実習を行っています。研究室で行う専門実験では、共焦点レーザー顕微鏡を用いたGFP(緑色蛍光タンパク質)の細胞内局在解析といった分子細胞生物学的な手法も扱っています。これらの実習は、当研究室で行っている実際の研究に用いる手法をなぞる実践的な内容となっていることから、その後の研究生活にとって役立つ経験になるのではないかと期待しています。実習や普段のディスカッションを通して科学研究の魅力を伝え、最終的には「自分なりの疑問や気づきを得て、それを明らかにするためには何が必要かを考え、仮説を立てそれを自分の手で検証できるような力を持った人材」を育成していきたいと考えています。

共同研究や産学連携への展望

ソルガムの高度利用化によりSDGs達成へ貢献

 私が所属する研究グループでは、多様な用途のある有望作物ソルガムの高度利用に向けた基礎・応用研究を進めています。これまでに、バイオエタノール生産効率を左右する茎の水分含量を決定する遺伝子や、鳥害回避に関与する芒(花器官の先端に生える針状の突起構造)の有無を制御する遺伝子など、重要農業形質を支配する遺伝子の同定・機能解析を行ってきました。その他にもソルガムの種子収量増加、バイオマス収量増加、バイオマス燃料としての適性上昇などの課題についても現在研究が進展中です。同定に成功した遺伝子については、マーカー支援選抜(MAS)育種法を用いて交配により現行のエリート品種に希望の形質を導入するといったファインチューニングな育種が可能になるため、出口としての実用品種の作出も可能です。それぞれの用途に応じたファインチューニングな育種を行いソルガムの高度利用化を推し進めることで、SDGs達成に大きく貢献できると考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  ソルガム、花器官、小穂、芒、形態形成、発生
キーワード2  :  食料問題、安定生産、収量増加、バイオマスエネルギー