プロフィール

山田 良子

山田 良子

YAMADA Ryoko

専攻 応用動物科学専攻 Department of Animal Resource Sciences
研究室 獣医動物行動学研究室 Laboratory of Veterinary Ethology
職名 助教 / Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

動物と人間がともに暮らしやすい社会へ

 動物と人間がともに暮らしやすい社会を目指し、イヌやネコなどの伴侶動物を対象として研究を行っています。伴侶動物の中には、攻撃行動や自傷行動、不適切な場所での排泄など、人間と生活する上で支障となる行動(問題行動)を示す個体がいます。問題行動が日常的に起こると動物の健康が損なわれるだけでなく、家族と共に暮らすことが困難になり飼育放棄や安楽死にも直結することがあります。そのため、問題行動は動物学・獣医学的観点のみならず福祉的観点からも看過できない事象です。
 そこで、①問題行動と呼ばれる行動はどのような特徴をもつ個体で起こりやすいのか(対象)②なぜ起きるのか(原因)③どうすれば防ぐことができるのか(予防)④どうすれば治すことができるのか(治療)を明らかにするために研究をしています。
 過去に実施した日本における問題行動の発生状況と関連要因の調査では、柴犬で攻撃行動や尾追い行動(自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回り、尻尾を噛んで傷つける行動)が起こりやすい、雌ネコは雄ネコよりも攻撃行動を示しやすいなど興味深いデータが得られました。現在は特に柴犬に着目し、攻撃行動や尾追い行動の背景に存在する遺伝・環境要因や治療法の探索を進めています。問題行動の背景因子の解明と対処法の確立は動物の健やかな暮らしに繋がり、動物と人間がより良い関係性を構築できる一助となると考えています。

教育内容

開かれた研究環境、臨床行動学を学べる数少ない研究室

 獣医動物行動学研究室では、開かれた雰囲気の中で研究が進められています。個々の裁量が大きい分、能動的に研究活動に取り組むこと、お互いの立場を尊重してコミュニケーションを取り協力して問題の解決に取り組むことが重要と感じます。
 なお、当研究室では東京大学附属動物医療センターの行動診療科にてイヌ及びネコの行動診療を実施しています。臨床行動学の教育の一環として、症例検討会の見学や診療参加(いずれも要相談。診療参加は獣医師免許保有者のみ)の受け入れも行われています。

共同研究や産学連携への展望

行動学的アプローチにより動物と人間のより良い関係性の構築を目指す

 伴侶動物の行動評価と、攻撃行動や自傷行動といった問題行動の背景因子の解明や対処法の確立に向けた研究を行っています。問題行動が日常化すると動物の健康が損なわれるだけでなく飼育放棄や安楽死にも直結するため、問題行動の解決は動物学・獣医学のみならず動物と人間両者の福祉という側面においても重要な社会的課題となっています。
 過去には、ペット用品通販サイトを展開されている企業様にご協力いただき、日本の一般家庭における問題行動の発生率や各行動を示しやすい動物の特徴(品種や年齢など)の大規模疫学調査を実施しました。本研究成果は一般家庭における問題行動の可視化に繋がり、問題行動の啓発や専門家による取り組みの一助となると期待されます。今後はウェアラブルデバイス等を用いた行動評価や、問題となる行動に対する治療介入効果の検討なども実施していきたいと考えています。これらの研究成果を世の中に還元し、動物と人間がともに暮らしやすい社会の発展に貢献したいと考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  イヌ、ネコ、伴侶動物、行動、気質、遺伝、ゲノム、獣医学、獣医療、動物福祉
キーワード2  :  問題行動、動物福祉、獣医療