プログラム

開会の挨拶

TPP問題と日本農業の再生を考える

農業・資源経済学専攻 教授 本間 正義

TPPは新しい時代のFTAである。TPPは国境措置の撤廃のみならず競争のルールや制度の共通化によって、より高い生産性の実現を目指しているが、農産物には未だに高率の関税が課されており、その撤廃による影響が懸念されている。しかし、こうした高関税がいつまでも維持されるはずがなく、日本農業は関税削減・撤廃を前提に今後のあり方を考えなければならない。コメで言えば、TPP参加でも7~8年間は高関税が維持できるため、その間に構造改革を進める必要がある。現実にも規模拡大と生産性上昇により、国際競争のある生産者が育っている。さらに、マーケットを世界に求めれば、日本農業の新たな地平が見えてくる。

TPP問題と日本農業の崩壊を考える

農学国際専攻 教授 鈴木 宣弘

「情報収集のための関係国との事前協議」との公式説明の裏側で、水面下で米国の要求する「入場料」支払いの交渉は着々と進んでいる。米国の「言いがかり」に対して、あからさまに国民的議論をすれば日本国民も猛反発するに違いないから、国民には知らせずに、水面下で譲歩条件(米国の安全・環境基準を満たせばよしとする米国車の輸入台数を設定するなど)を提示して、「頭金」水準が詰められている。BSE(狂牛病)に伴う米国産牛肉の輸入制限についても、すでに昨年10月の緩和検討の表明から「結論ありき」で着々と食品安全委員会が承認する「茶番劇」が進んでいる。これらが完了すれば、日本のTPP参加は既成事実化し、あとは米国の「参加承認」発表のタイミングだけの問題となる。「TPPは最高級のFTAだ」「関税撤廃の例外は認められる」「農業のせいで国益を失うのか」「復興のためにTPP」「農業のせいで従来のFTAが決まらなかったのだからショック療法を」「所得補償するからゼロ関税でも農業は大丈夫」「食品の安全基準は各国が決められるから大丈夫」「過保護な日本農業にショック療法を」といった議論の間違いを指摘し、TPPが「失うものが最大で得るものが最小の史上最悪の選択肢」であることを明らかにする。

これからの農業に望む姿:
消費とフードシステムの変化を見据えながら

農業・資源経済学専攻 教授 中嶋 康博

農業の担い手の高齢化と後継者不足が続き、国内の食料供給基盤が脅かされている。一方、世界の食料需要は増え続けており、将来の食料確保が懸念される。そのような中、国内農業の再建は喫緊の課題だが、それは現代の食のあり方を踏まえて制度や振興策を立案すべきである。報告では、私たちの食は90年代以降大きく変貌しつつあることを紹介し、望むべきわが国農業の将来像をグローバル化の中で考えていく。

パネルディスカッション

パネルディスカッション進行:
農学生命科学研究科・農学部 広報室長 獣医学専攻 教授 中山 裕之

閉会の挨拶

司会: 農学国際専攻 准教授 松本 安喜

開催のご案内

日時 2012年11月10日(土)13:30~16:35
場所 東京大学 弥生講堂・一条ホール
東京都文京区弥生1-1-1
地下鉄南北線 「東大前」下車 徒歩1分
地下鉄千代田線 「根津」下車 徒歩7分
※お車でのご来場はご遠慮ください。
対象 どなたでも参加できます。
定員 300名(当日先着順、事前登録不要)
※定員を超えた場合、入場をお断りすることがあります。
参加費 無料
受講証 受講証を発行いたします。
ご希望の方は、120円切手をご持参の上、当日受付でお申込ください。

主催・共催

主催: 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部
共催: 公益財団法人 農学会

お問い合わせ

東京大学農学系総務課 総務チーム 総務・広報情報担当
〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1
電話 03-5841-8179, 5484
E-mail koho@ofc.a.u-tokyo.ac.jp