プロフィール

千装 公樹

千装 公樹

CHIGIRA Koki

専攻 生産・環境生物学専攻 Department of Agricultural and Environmental Biology
研究室 栽培学研究室 Laboratory of Crop Ecology and Morphology
職名 助教 / Assistant Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

故きを温ねて…イネ在来品種が持つ有用形質の遺伝要因解明と利用

 人工交配を用いたイネの品種改良が日本で始まってから約1世紀が経過し、多くの洗練された品種が日本の主食を支えています。基本は「おいしく、安定してたくさんとれるコメ」が目指されてきましたが、近年の気候変動やコメの多用途化に伴い、求められる性質は多様化しています。新たに求める性質を持ったイネは在来品種の中にあるかもしれません。在来品種はきわめて多様であり、ジーンバンクには2000系統以上が保存されています。その多くは現代の品種の直接祖先ではなく、今の品種にはない多様な性質を持ったものが存在すると考えられます。私は、①日本の在来品種から有用な性質を持つものを探索する、②有用な性質をもたらされる原因を遺伝的に解明する、③現代の品種にその形質を実装する、といったアプローチで研究を行っています。例えばこれまでにイネの茎の太さや長さに関わる遺伝要因を在来品種から同定しています[1, 2]。今後さらに研究を進め、イネをはじめとする作物において、在来品種の遺伝資源としての価値を高めることを目指します。

教育内容

圃場・実験室・コンピューターをフル活用

 私はイネを研究材料として、在来品種の有用な性質の探索、それらの遺伝的要因の解明、在来品種を利用した新品種の育成などを行っています。観察や測定は、実際の圃場で栽培したものを使って行います。新たな視点の性質を定量化するために、測定の方法を確立するあるいは効率化することも研究テーマになります。交配を行って独自の研究材料や新品種候補を育成することもできます。遺伝的要因の解明に向けては、核酸抽出、PCR、発現解析、ゲノム編集などの実験を行っています。また膨大なゲノム情報の解析のためにプログラムを組むこともあります。自分の研究のために作成するだけでなく、ツール化して誰でも使えるように公開することも可能です。このように、圃場から実験室、コンピューターによる大規模解析まで、非常に広い分野の知見をフル活用して研究に臨んでいます。

共同研究や産学連携への展望

新規有用形質の探索、形質測定やゲノム解析ツールの作成

 これまでの研究では、激甚化する気象災害に対応するため、倒伏抵抗性の高いイネ品種に関する研究を行ってきました。日本の品種は海外の品種に比べ遺伝的多様性が小さいですが、その中で、在来品種に茎が太く強い品種を見出し、それらの遺伝要因の解明を行いました[1,2]。最近ではさらに草丈や分げつ、開花期に関する未知の遺伝要因について研究を進めています。現在も多様な在来品種のスクリーニングを実施できるよう遺伝資源を維持しており、新たな有用形質の探索や遺伝要因の解明、新品種育成などで連携可能です。
 また、これまでの研究の過程で作成したプログラムをツール化することにも取り組んでいます[3]。植物の形質測定を効率化する技術や、ゲノム情報の解析分野でも連携可能です。 [1] Chigira et al. Sci. Rep. 10:19855 (2020). [2] Chigira et al. Rice 16:4 (2023). [3] Chigira et al. BMC Bioinformatics 26:175 (2025).

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  イネ、形態、遺伝、QTL、在来品種、形質測定、ゲノム、バイオインフォマティクス
キーワード2  :  気候変動、食糧問題、エネルギー問題