プロフィール

コスタンティーニ ヒロコ

コスタンティーニ ヒロコ

COSTANTINI Hiroko

専攻 農学国際専攻 Department of Global Agricultural Sciences
研究室 国際農業開発学研究室(コスタンティー二研究室)  Laboratory of International Agricultural Development
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

Designing Life – Harvesting Health for People, Planet, and Future 人と自然がともに心地よく支え合う社会を目指して ― アグリカルチャーを通じてケアのあり方を見つめ直す研究

私は、アグリカルチャー(農の営み)や地域活動を通じて、人と人、人と自然が支え合うしくみを研究し、心身の健康を保ち、地域とつながりながらウェルビーイングを高める新しいモデルを探っています。 この研究の背景には、私たちが2021年に世界に先駆けて提唱した「ケアリテラシー」という観念があります。ケアリテラシーとは、―― 自然を含めた広義の包摂性 ―― つまり、人や自然に対して思いやりをもち、関わりながら共に生きる知識、態度、そしてその実践力のことです。アグリカルチャーという日常の営みのなかに、人を思いやり、自然を大切にするケアの視点を取り入れることで、誰もが毎日を心地よく、尊厳をもって暮らせる社会の実現を目指しています。 このような視点は、「いきかたをデザインする ― 人・地球・未来のための健やかな暮らしを育む(Designing Life – Harvesting Health for People, Planet, and Future)」というケアリテラシーの理念に重なり、自然との調和を大切にしながら、誰もが包摂される暮らしと持続可能なライフデザインの実践を目指す姿勢を表しています。

研究では、地域コミュニティでの聞き取り調査や参与観察を通じて、アグリカルチャーの現場で生まれるつながりや変化をデータ化・分析しています。引き続き医療・AI分野とも連携しながら、より多くの人が無理なく心地よく参加できるアグリカルチャーとケアの新しいかたちを提案していきたいと考えています。

教育内容

Nature or Culture? 考え方と価値を育む学際的アプローチ ― 現場と共に学び、人と自然の関係を学び、未来をデザインする力を育む

私は、ハーバード大学(MA)やケンブリッジ大学(PhD)などで学び、オクスフォード大学やパリ政治学院で教育・研究に携わり、2022年に本学に着任しました。教育では、「人と自然の根本的な関係とは何か?」という問いを起点に、アグリカルチャーや地域活動を通じて、人と人・人と自然の関係を捉え直す教育と研究を行っています。講義や卒論指導では、社会人類学の視点から、ソーシャル・イノベーション、ジェンダー、ジェンダード・イノベーション、ウェルビーイング、持続可能性などのテーマを扱い、地域社会と自然環境を結ぶ思考を育てます。「課題解決型アクションリサーチ」方法論に基づき、練馬区、埼玉県三芳町、フランスなどでのフィールドワークやAIや医療分野との連携を通じ、理論と現場をつなぎ人文・社会科学と自然科学、テクノロジーなどを横断した学際的な視点を通じ、実際の社会課題を解決していくことを重視しています。

「考え方」と「価値づくり」を大切にし、自分の問いを深め、そこで得た知見を社会・政策提言につなげ、持続可能で包摂的な未来の創出に貢献できるグローバル人材の育成を目指しています。これまで教えてきた学生たちは、ヨーロッパ・アメリカの大学院や国際機関、企業・行政などで活躍し、研究と実践をつなぐ力を発揮しています。

共同研究や産学連携への展望

人と自然の共生を支える知とイノベーション ― ケア・アグリカルチャー・地域の未来を共創するパートナーをめざして

私たちは、超高齢社会・農業の担い手不足・地域のつながりの希薄化といった複合的な社会課題に対し、「ケアリテラシー」という新たな概念を軸に、アグリカルチャーや地域活動を通じた人と自然の関係再構築向けての社会実装に取り組んでいます。アグリ活動を通じて自然を含めた包摂性の追求、シニア層の健康維持やウェルビーイングの向上、地域資源の循環利用、AIや医療との連携による健康データの可視化など、知的探究と現場実践を融合させた取り組みが特徴です。

これまでに、保険・食品・環境関連企業、地方自治体、医療研究機関などと連携し、実証的なエビデンスの提供や社会実装に向けた協働プロジェクトを展開してきました。今後は、健康経営、地域共生、高齢社会、サステナビリティ、自然資本や農業AIといったテーマに関心をもつ企業・自治体・NPO等と連携し、研究と実装の両面で社会に価値を届ける新たな共創の形をともに模索していきたいと考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  課題解決型アクションリサーチ、社会人類学、文化人類学、農業、アグリカルチャー、ケア、ケアリテラシー、ジェンダー、ジェンダード・イノベーション、ウェルビーイング、持続可能性、環境人文学、地域研究、フィールドワーク、参与観察、聞き取り調査、コミュニティ形成、ライフデザイン、社会実装、農福連携、自然と文化の関係、生活の質、行動観察、デジタルツイン、ヘルスケア、AIと社会
キーワード2  :  超高齢社会、農業の担い手不足、高齢者の孤立、地域のつながりの希薄化、福祉と農の統合、認知症予防、フレイル予防、社会的包摂、ケアの社会化、環境と共生、地域活性化、耕作放棄地、気候変動適応、地域福祉、健康格差、サステナビリティ、まちづくり、インクルーシブデザイン、食と健康、ジェンダー平等、リジェネラティブ農業、社会的不平等、ソーシャル・イノベーション