プロフィール
専攻 |
応用生命工学専攻
Department of Biotechnology
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研究室 |
細胞遺伝学研究室
Laboratory of Cellular Genetics
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職名 |
准教授 / Associate Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
酵母の基礎と応用の研究を行っています
私たちの体を構成する細胞は細胞膜で取り囲まれており、さらに細胞内には小胞体、ミトコンドリアなどの細胞小器官(オルガネラ)が存在して様々な役割を分担しています。細胞膜やオルガネラはリン脂質やステロールなどの脂質が作る膜により形成されていますが、脂質がどのように細胞内を移動し、代謝されて膜やオルガネラが形成されるのかを理解することは細胞生物学の重要な課題です。私たちはこれらの課題についてパン作りやお酒の醸造に利用される酵母を用いて研究を行い、リン脂質やステロールの細胞内輸送機構や代謝機構を明らかにしてきました。この研究は、細胞の成り立ちの基本的な理解に寄与するだけでなく、酵母の産業利用にも貢献することが期待されます。一方、酵母には多様な種が存在していますが、私たちは石油成分のn-アルカンや油脂の強力な資化する能力と脂質を高度に生産して細胞内に蓄積する能力を持つアルカン資化酵母について研究を行い、n-アルカンや脂肪酸の代謝経路とその制御を明らかにしてきました。今後、酵母を用いた有用脂質の生産や石油、油脂により汚染された環境の浄化への応用が期待されます。
教育内容
私たちの酵母研究に参加したい人を募集中です
酵母は産業微生物としても、また基礎生命科学の研究対象としても重要な微生物です。私たちは酵母Saccharomyces cerevisiaeにおける脂質の代謝と細胞内輸送および生体膜とオルガネラの形成機構に関する基礎研究と、産業用微生物として注目されている酵母Yarrowia lipolyticaにおける脂質の代謝とその制御および細胞形態形成機構に関する応用を志向した研究を行っています。私たちはこれらの課題に対し、分子生物学的、細胞生物学的手法に加えて、ゲノム解析技術の進歩に伴い有効性が増した遺伝学的手法、細胞内プロセスの試験管内での再構成などを行う生化学的手法、脂質メタボローム解析などを用いて研究を進めています。研究室の学生の皆さんには、日々の実験と議論を通して、サイエンスの面白さを知ってもらい、責任を持って信頼性のあるデータを出していくという研究者としての姿勢を学ぶとともに、深い専門知識、論理的思考力、応用力を身につけてほしいと考えています。研究室の卒業生の進路は、大学、国立研究所、公務員、特許事務所、食品系・酒造系・化学系をはじめとする企業など多岐にわたっています。
共同研究や産学連携への展望
酵母の新たな応用へ向けて
酵母には、細菌や他の真核微生物にはない産業微生物としての特性、長所があります。酵母には、パン作りやアルコール醸造に利用されているSaccharomyces cerevisiae以外にもnonconventional yeastsと呼ばれる多様な酵母が存在しており、それらについて有用形質を探索し、その発現機構を解明して高度利用していくことが重要であると考えられています。私たちは、S. cerevisiaeをモデルとしたリン脂質およびステロールの代謝と輸送の研究に加えて、n-アルカンや油脂の強力な資化能と高い脂質生産能を持ち、有用脂肪酸の生産に産業利用されている酵母Yarrowia lipolyticaについて研究を行い、これまでにn-アルカンおよび油脂の代謝経路とその制御機構を解明してきました。これらの研究により得られる知見は、酵母を用いた有用脂質の生産系や疎水性化合物の微生物変換系の構築に貢献することが期待されます。酵母を用いて脂質、化学物質などの生産を行おうとする企業や法人との共同研究を行えればと考えています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 微生物、酵母、細胞、オルガネラ、生体膜、脂質、リン脂質、ステロール、石油、アルカン、油脂、脂肪酸、Saccharomyces cerevisiae、nonconventional yeasts、産業利用、代謝、細胞内輸送、パン、醸造、分子生物学、遺伝学、生化学、細胞生物学、メタボローム、ゲノム、トランスクリプトーム
キーワード2 : 食糧問題、環境汚染