プロフィール

一般の方へ向けた研究紹介

コウモリの不思議を探究する

コウモリは地球上で1,400を超える種が生息し、形態・生態・生理・生活史・行動が驚くほど多様化したグループです。その優れた飛翔能力やエコーロケーション(反響定位)能力は、工学分野にも応用されるほどです。 ただ、暗闇で行動するが故に、その生態や生活史、行動にはまだまだ未知な部分が多い生き物でもあります。一方で、環境改変により絶滅の危機に瀕している種が多く、保全対策を早急に行う必要がある種が多く存在します。 また、近年では新型コロナなどの人獣共通感染症のホストとしても注目を集めたり、風力発電施設への衝突問題など、さまざまな社会的課題に直面しています。こうした課題を解決するためには、コウモリの生態や行動、生活史、進化史といったさまざまな基礎的テーマを研究する必要があります。 そこで、わたしはこれまでにコウモリを対象として、生息環境特性、共存メカニズム、生活史特性などのさまざまなトピックスを扱ってきました。 また、多様な分野の研究者と共同研究を行うことで、進化や分類の解明や工学的応用にも貢献しています。

教育内容

自然界の驚くべき姿を解き明かしてみませんか

附属演習林をフィールドとした農学部の実習や全学体験ゼミナール、森林生態圏管理学(分担)を担当しています。ここではコウモリに限らず、森林と哺乳類の関係性、森林の面白さを伝えることで、炭素吸収源や生物多様性のゆりかごとしてこれからますます重要になってくる森林に関わることのできる人材育成を意識しています。 これまでに指導した博士課程及び修士課程の大学院生はコウモリを対象とした研究を行い、公務員や研究職に就いています。指導教員と学生という関係以上に、一緒に面白い研究をおこなって自然の「秘密」を解き明かしていきたいと思います。

共同研究や産学連携への展望

コウモリが抱える社会課題に貢献を

上でも説明したように、コウモリは生物多様性保全だけでなく、人獣共通感染症、風力発電との軋轢といったさまざまな解決すべき社会課題を抱えています。一方で、その飛翔能力やエコーロケーション、免疫、長寿といった驚くべき能力は、応用することで我々人間の生活を豊かにしてくれる可能性をたくさん秘めています。 これまでに、コウモリの移動経路や飛翔特性を明らかにすることで、ウイルスや病原菌の拡散パターンを解明するための基礎的情報を提供してきました。また、これら成果は風力発電施設の適正な立地を検討する上でも参考になります。今後も、多様な分野の研究者と連携することで、社会に貢献できる研究を進めていきたいと考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  コウモリ、哺乳類、森林、移動、食性、バイオロギング、分類、エコーロケーション
キーワード2  :  生物多様性保全、風力発電、人獣共通感染症