プロフィール

古橋 賢一

古橋 賢一

FURUHASHI Kenichi

専攻 生物・環境工学専攻 Department of Biological and Environmental Engineering
研究室 生物機械工学研究室 Laboratory of Biological and Mechanical Engineering
職名 准教授 / Associate Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

バイオマスの完全利活用による農業と調和した持続的なバイオ燃料生産

 第一次産業からは、大量のバイオマス(動植物由来の有機物)が発生します。バイオマス中の炭素、水素は、農業機械や飛行機に利用できるバイオ燃料に変換することができます。また、炭に変換して農地に散布すれば、農地に二酸化炭素を固定して、大気中の二酸化炭素を減らすこともできます。一方で、バイオマスには炭素や水素以外にN, P, Kをはじめとした肥料として利用できる栄養塩類も含まれます。炭素・水素をバイオ燃料として、残りの塩類を肥料として農業に利活用することができれば、バイオマスの完全な利活用が可能となります。 肥料としてエネルギー残さを農業利用するには、エネルギー収率を最大にするのみを考えるのではなく、農業機械が扱いやすいような形状に変換することも必要です。また、日本では耕作放棄地が増加していること、海水や淡水資源が豊富なことから、エネルギー残さを栄養源とした資源作物による効率的なバイオ燃料生産も期待できます。
 農業では、化石燃料や化学肥料の高騰、高齢化や農業従事者の減少など多様な問題があります。バイオ燃料と有機肥料の同時生産とスマート利活用による、環境・労働両面で持続的な農業経営に役立つ術開発を目指しております。

教育内容

学術性と実用性の両立により第一次産業におけるバイオマス利活用を推進

①バイオメタン・高濃度有機液肥の両立生産と新規液肥散布機の開発
②有機質肥料およびバイオ炭の成型技術開発と評価
③微細藻類からの細胞非破壊型オイル回収技術
④耕作放棄地を活用した草本資源作物の生産・バイオ燃料化
 上記のテーマを中心に、バイオ燃料の生産とバイオマスエネルギー残さの農業へのスマートサーキュレーションという境界領域にチャレンジしております。そのため、バイオマス変換のための化学工学と、AI・ロボット化を含めた農業機械学を組み合わせています。また、バイオ燃料はカーボンニュートラルとされますが、実際には原料生産~変換~輸送~廃棄という一連の過程でGHG(温室効果ガス)を排出するので、カーボンニュートラルとなりません。自分の開発技術がGHG排出削減効果に与える影響を評価するための環境影響評価(LCA)は重要です。農業分野でのバイオマスを利用したカーボンニュートラルの推進には、学術性と実用性を両立させることが重要と考えています。そのため、ラボ内のみの研究でなく、実際の現場体験と共にバイオマス変換や農業機械・施設に関する知識を深める機会を提供することを常に考えております。

共同研究や産学連携への展望

農学と工学を融合させたバイオマスの新規変換・利活用技術を開発

 バイオマスのエネルギー化・肥料化を進めるにあたり、①高窒素濃度のメタン発酵消化液を得るためのアンモニア阻害回避法、②バイオ炭(木質ガス化発電残さやもみ殻くん炭等)や有機質肥料(家畜ふん堆肥等)のハンドリングを向上させるための成型技術や農業機械への適用等についての技術を研究しております。また、学生時代からのライフワークとして、微細藻類からのオイル回収技術に取り組んでおります。具体的には、炭化水素を生産する微細藻類の効率的培養法、バイオオイル抽出後に抽出残さを再培養する細胞非破壊型のミルキングという技術について研究しております。また、近年では海外、国内共に工作放棄地が課題となっていることから、ドローンを利用したモニタリングから耕作放棄地の再生と炭素固定に役立つバイオ燃料用の草本資源作物栽培に取り組んでおります。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  バイオマス、バイオ燃料、バイオマスエネルギー、微細藻類、メタン発酵、堆肥化、バイオ炭
キーワード2  :  資源循環、有機肥料、バイオ炭、カーボンニュートラル、スマート農業