プロフィール
専攻 |
獣医学専攻
Department of Veterinary Medical Sciences
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研究室 |
感染制御学研究室
Laboratory of Infection Control and Disease Prevention
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職名 |
教授 / Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
人・動物・環境の健康を一つにとらえる「ワンヘルス」アプローチで、感染症に挑む
地球規模で広がる動物の感染症をどのように制御するか、多岐にわたる課題に取組むことがミッションです。また、これまでの経緯から、動物に癌を引き起こすパピローマウイルスの研究も進めています。近年、動物由来の新しい感染症が話題になりますが、新しい感染症が動物との関係の中で出現し、人類に多大な影響を与える背景を理解するには、「ワンヘルス」という概念が有効です。ワンヘルス(One Health)とは、3つの健康、すなわち人・動物・環境 の健康な状態は相互に密接な関係があり、真の健康とは、それらを総合的に良い状態 にすること、という概念です。人口・食料・ 感染症は、人類共通の課題として、地球規模で学際的なアプローチが求められています。動物の中には、ペット、家畜、実験動物、野生動物、希少動物など、いろいろな区分があり、感染症対策も、どのような動物を相手にするかで変わってきます。このような視点から、獣医領域の感染症制御には、技術開発のみならず、人文社会学や政治経済学的なアプローチも重要です。効果的な制御法を提言するなど、動物の感染症を制御することにより、最終的には人類の幸福を追求し、健全で持続可能な社会構築に貢献することを目指します。
教育内容
地球上の多様な命と関わる人類との視点から、感染症の課題に取り組もう
教育活動内容
「動物感染症学」「獣医史学」「獣医学概論」「生命倫理」「EMP講義(https://www.emp.u-tokyo.ac.jp/index.html#emp-info)」
人材育成の目標
獣医学や動物感染症といった専門性に立脚しながら、地球上の多様な命と関わって生かされる人類という俯瞰的視野を忘れず、健全で持続可能な社会に貢献できる人材の育成を目指しています。
人材輩出の実績
環境省、厚労省、公務員など、公的機関や研究機関
共同研究や産学連携への展望
持続可能な社会構築のため、動物の感染症に挑む
動物の癌ウイルスとしてのパピローマウイルスの研究
パピローマウイルス(PV)は種特異性が高く、それぞれの動物種に特異的なPVがあります。人では特に女性の子宮頚癌を引き起こす高リスク型人PVが知られ、そのワクチンが、子宮頚癌予防ワクチンとして実用化されています。動物の癌にも多くのPVが関与し、その背景には多様なP Vが存在していると思われますが、詳細は不明です。私たちはこれまで、動物のPV研究から、新しい型や亜型のPVをいくつも発見してきました。牛や馬といった大動物や、近年寿命が伸びている犬猫の腫瘍から多様なPVを検出する方法の開発や、病態との関連を解析し、最終的にはウイルスの特徴や分布と病態の解明から、PVの関与する動物の癌予防に貢献することを目指しています。
レギュラトリーサイエンスにつながる感染症研究
病原体の検出、感染から発病に至る病態の解析、予防や病原体抑制のためのワクチンといった、感染制御に関わる科学的基礎となる研究を発展させ、現実社会へ科学的成果を還元するとともに、特にレギュラトリーサイエンスに繋がる研究に取り組みたいと考えています。ワンヘルスの視点から、幸福な人生を歩むための科学リテラシー向上に貢献するような研究を推進することを目指しています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 動物、感染症、パピローマウイルス、腫瘍
キーワード2 : 動物、感染症、持続可能社会、ワンヘルス