プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
塩分濃度が様々な水圏環境に棲む魚の環境適応メカニズム
水圏環境は、河川や海洋など塩分濃度がさまざまですが、そのなかで多種多様な魚たちが生息しています。例えば、キンギョのように淡水でしか生きられない魚やマグロのように海水でしか生きられない魚が存在する一方で、サケやアユなどのように一生のうちで川と海を行き来し、淡水と海水の両方の環境に適応できる魚も知られています。このように魚たちは種類によって異なる環境適応メカニズムを身につけています。私たちは、魚が塩分濃度の違う水圏環境にどのように適応していのるかを明らかにするため、特にエラに注目して研究をしています。エラは呼吸をするだけでなく、体の中の水や塩分のバランスを調整する「浸透圧調節」という大切な役割を果たしています。こうした研究は、魚が持つ環境適応のメカニズムを明らかにするだけでなく、養殖技術への応用や気候変動が与える影響への理解など、私たちの生活にも役立つことが期待されます。
教育内容
魚特有の生存戦略を明らかに
川や海など、塩分濃度がさまざまな水の環境に生息する魚は、陸上に暮らす私たちには見られない独自の環境適応の仕組みを発達させてきました。なかでも研究の対象となる「エラ」は、呼吸を担うだけでなく、体内の塩分調整、酸・塩基維持、さらには老廃物であるアンモニアの排出など、多岐にわたる重要な働きをしています。魚たちが持つこうした生存戦略を解き明かすことは、生物の理解を深めるうえでとても魅力的なテーマです。さらに最近では、淡水で育てたニジマスを海面養殖に移行する際のストレスを調べるなど、基礎研究だけでなく水産業へとつながる研究も重要視しています。魚の環境適応に関心のある方、ぜひ一緒に研究しましょう。
共同研究や産学連携への展望
魚における環境適応機構の基礎研究から養殖技術の応用へ
ニジマス、アユ、スズキ、ティラピアなどの水産重要種を対象とし、体液の浸透圧調節メカニズムの解明に取り組んできました。近年では、ニジマスの内水面から海面養殖に移す際の浸透圧ストレス評価やアユのスレ症の塩水浴など、養殖現場への応用を目指した共同研究も行っています。その成果は、2023年に月刊養殖ビジネスにて「魚類の浸透圧調節機構と養殖業への応用」というタイトルで5回にわたって連載で紹介しています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 動物、魚類、魚類生理学、環境適応、浸透圧調節、酸塩基調節、鰓、アユ、ニジマス、ティラピア
キーワード2 : 気候変動、食糧問題