プロフィール

石森 元幸

石森 元幸

ISHIMORI Motoyuki

専攻 生産・環境生物学専攻 Department of Agricultural and Environmental Biology
研究室 園芸学研究室 Laboratory of Horticultural Science
職名 助教 / Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

「園芸学」ってなんなん?

 みなさんは「園芸学」と聞くと、どのような研究分野を想像するでしょうか?
 漠然と『野菜や果物を上手に育てるための研究?』とか、もっと身近なものとして『ガーデニングみたいな感じ?』ととらえる方もいるかもしれません。
そのようなイメージは的外れではなく、「園芸学」の本質はかつて各家庭において小規模に栽培されることの多かった野菜や花などの「身近な植物」を科学的に解析することにある、と私は考えています。
 しかし、「園芸学」という分野はあまりにも広く、詳しくない方から見ると抽象的すぎるかもしれません。そこで私の研究分野を難しい言葉で少し詳しく定義してみると、「園芸作物における遺伝資源活用を効率化するための研究」と言えるかもしれません。
 わかりやすく例を挙げてみると、日本人にとって「りんご」は身近な果物のひとつですが、普通は「ふじ」とか、「シナノスイート」とか、「品種」という名前付きで売られていることが多いと思います。野菜や花は品種名が表示されていないものも多いですが、実は全てに「品種」名はあります。一般のみなさんが知っている品種の数はかなり少ないでしょう。それは実際に広く流通している品種は、「選ばれたエリート」のみであるからです。つまり青果店などで売られている「品種」は、相当優秀な「DNA」を持っているわけです。
 こうした優れた「品種」を育成することは、実は生易しいものではありません。新しい品種を作るうえで大変な作業は色々ありますが、一番重要で大変なのは、その「優秀さ」を評価すること、それ自体なのです。「何故か?」というと、残念ながらそれほど簡単に説明できる問題ではありません。生物学、遺伝学の知識はもちろん、植物育種学や統計学、遺伝子工学などの知識が必要だからです。私の研究では、そうした関連科学の技術や知識を最大限に活用して、将来的に「品種」の改良がよりスムーズに進められるような土台づくりをしています。

教育内容

全ての道は園芸学に通ず

 私の専門である「園芸学」では、野菜・果樹・花きという非常に広範な植物種を対象に研究を行っています。現在、特に力を入れている研究テーマを大雑把に述べると、「いかにして多様な園芸作物の遺伝資源を有効に活用していくか?」となると思います。もう少し具体的に問題設定を挙げると、「そのような園芸科学の課題に異分野先端技術をどのくらい利用できるのか?」という感じでしょうか。
 私は「園芸学」で学位を修得していますが、実は最初に配属された研究室の専門は「植物遺伝育種学」でした(とはいっても現在所属している東京大学ではありませんが。。。府中市にある東京競馬場に1番近い大学、といえばわかる人?にはわかるかもしれません)。そして、学位修得後も「バイオインフォマティクス(とバイオメトリクス)」を専門とする研究室で長年研究をさせてもらいました。
 なぜそのような多様な経歴を辿ったかといえば、おそらく「全ての道は園芸学に通ず」という真実に行き着いたからではないか?、と思います。かなり無理矢理な論理かもしれませんし、所詮は後付けだろうと言われれば「その通り!」ですが、そのような「園芸学以外」の知識を現在フルに活用して研究を進めているのは事実です。ゲノミクスをはじめとしたオミクス解析、ゲノム編集、リモートセンシング、深層学習といったおそらく最近では大学の教養的な講義でも耳にする技術ももちろん活用しています。最初に述べたように、正確にはこれらの技術をいかに「園芸科学」で活用できるか、というのが現段階ですが、近い将来園芸の世界も違和感なくこれらの技術と共に発展していくだろうと思います。
 興味を持たれた方はぜひ園芸学の世界へお越しください。他の研究分野にも関心のある方や異分野で既に研究されている方もぜひ!

共同研究や産学連携への展望

"high value-added" collaboration

In the future、 I believe that research must be conducted not only in Japan、 but also within an international framework. Industry-academia collaboration must also be conducted on a worldwide basis. In other words、 I would like to promote research not only with domestic companies but also with international companies. The field of horticulture (and related horticultural science) has a strong local flavor、 and each country and region has its own unique characteristics、 which makes it difficult. Japanese people tend to be obsessed with the quality of things、 and horticultural products are no exception. In other words、 Japanese people want high value-added vegetables and fruits in terms of taste、 freshness、 and nutritional value.
Vegetables and ornamental flowers are currently my main experimental materials. The most important traits of these vegetables and ornamental crops are easily recognizable traits such as color、 shape、 and size. In the future、 I believe that more important traits will be flower longevity and fragrance (for ornamental crops)、 and nutritional value and further improvement of taste (for vegetables).
I am currently conducting research to improve the efficiency of breeding for high value-added traits such as flower longevity and nutritional value. Specific results will be forthcoming、 but I am confident that in the future、 varieties with high value-added traits will be in demand not only in Japan but also worldwide. I look forward to your support for my research.

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  園芸、野菜、花き、品種改良、遺伝資源、ゲノミクス、フェノミクス
キーワード2  :  食糧問題、高付加価値、持続可能性、遺伝資源保全