プロフィール

伊藤 昭彦

伊藤 昭彦

ITO Akihiko

専攻 森林科学専攻 Department of Forest Science
研究室 森林経理学研究室 Laboratory of Forest Management
職名 教授 / Professor

一般の方へ向けた研究紹介

森林の機能を用いて地球環境激変を防ぐためのモデルシミュレーション研究

研究の背景

 地球環境が激変する中、森林が人間社会にもたらす様々な機能、特に二酸化炭素(温室効果ガス)を吸収し木材(バイオマス資源)を供給する機能に注目が集まっています。森林の機能をより良く活用するには、森林で営まれるプロセスを理解して、様々な条件を考慮した将来予測を行う必要があります。

研究の内容

 わたしたちの研究室では、森林で営まれるプロセスに基づいてコンピュータ上に森林の構造や機能を再現するモデルを開発し、予測シミュレーションを行う研究を行っています。特に、熱帯から亜寒帯まで、世界の森林全体を扱うグローバルなモデルの開発と応用がこの研究室の特徴です。現在の森林が吸収している二酸化炭素の量や、将来の気候変動が森林に与える影響など、様々なテーマで研究を行っています。

今後の展望

 森林モデルを改良し、成長などのプロセスや機能の再現性を高めていきます。その過程を通して森林の営みをより深く理解するとともに、森林を活用した地球環境保全に貢献するための研究を行っていきます。

教育内容

分野やスケールの垣根を超えて広い視野で森林を考えることができる人材を育てます

 「森林経理学」(学部3年生向け)では、数十年以上に及ぶ長期性、世界中に分布する広域性、そして自然科学から社会科学にわたる学際性、という森林の特徴を踏まえた資源評価や管理に関する講義を行います。近年注目されている地球環境問題を見据え、古典的な資源管理だけでなく、環境変動に対応したモデルなど新しい動向を解説します。日本だけでなくグローバルな森林資源に関する理解を深めてもらうため、様々な空間データや衛星観測など成果を紹介するよう努めています。
 「森林経理学研究室」は国内でこの分野を創設したと言ってもいい歴史ある研究室ですが、私自身は2023年度から本学に来たため、研究グループとしては新しいです。それらの利点を活かし、伝統を踏まえつつも新しい課題に取り組み、国内外で活躍できる人材の育成を進めているところです。既成概念や分野の枠にとらわれず、重要と思ったテーマを追求できるような研究室を目指しています。

共同研究や産学連携への展望

地球環境を守るために森林をグローバルに考えています

取り組んでいる社会問題

 気候変動問題に関して、森林による温室効果ガス吸収量を推定するモデル開発を行っています。世界全体の森林による温室効果ガス吸収量を評価することで将来予測や対策立案に貢献することを目指しています。

現時点での課題に対する成果物や進捗

【グローバルな森林モデルの開発】
 世界の森林および草原など陸域生態系を対象に、光合成などの生物的プロセスを積み上げた独自のモデルを開発しています。森林火災や森林破壊など、撹乱現象も取り入れて現実の再現性を高めようとしています。
【温室効果ガス収支の推定】
 森林による温室効果ガス交換をモデルで再現し、二酸化炭素だけでなくメタンや一酸化二窒素も含めた包括的な評価を行っています。また、その推定データを国際プロジェクトに提供しています。
【気候変動の影響評価と対策の検討】
 将来の気候変動や土地利用に関するシナリオを使用し、森林への影響評価や、森林の機能を用いた対策立案に関する研究を行っています。

今後の進展に適用可能な技術や研究、展望

 当研究室では、国立環境研究所や海洋研究開発機構などの国内研究機関・大学、さらに国際プロジェクトへの参加を通じて海外研究機関との連携を進めています。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)など地球環境変動についての政策・対策への貢献を目指しています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  森林、炭素循環、窒素循環、二酸化炭素、メタン、生態系モデル、陸域生態系、土壌炭素、生物圏、地球システムモデル
キーワード2  :  気候変動、森林破壊、温室効果ガス、森林火災、森林吸収源