プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
多様で普遍的な、微生物の代謝を明らかにしたい!
微生物の多様な能力を支える代謝システムには、今なお多くの謎が残されています。大腸菌のように研究でよく用いられるモデル生物では理解が比較的進んでいますが、それ以外の微生物種では未解明な点が数多く存在します。こうした謎は、普通の菌が持たない特殊な代謝機能においてはもちろんのこと、意外なことにアミノ酸合成やエネルギー獲得といった、多くの生命に共通する基本的かつ普遍的な代謝機能においても見られます。
私たちは、独自の「とがった」能力を持つ微生物種を研究材料として用い、これらの謎の解明に取り組んでいます。微生物の特殊能力の仕組みを明らかにして応用への道を切り拓くこと、またこれまで「わかってない」ことにすら気づかれてこなかった普遍的な代謝メカニズムの発見を通じて生命全体への理解を深めることを目指しています。
教育内容
微生物の代謝から、「生命とは何か」を考えよう!
というのが、私の研究の大きなモチベーションのひとつです。同じように「生命とは何だろう」「なぜ/どのようにして生きられるのだろう」といった問いに興味を持つ人も多いと思います。生物学には「ゲノム」や「生態」など様々な階層がありますが、「代謝」という観点から細胞内で起きている化学反応そのものを捉える研究は、そうした問いを探求するのにうってつけです。
私たちは研究材料として、水素をエネルギー源として利用して二酸化炭素を固定する「水素細菌」を扱っています(関連リンクの総説を参照)。この菌は、温暖化ガス削減や二酸化炭素を原料とした有用物生産などへの利用が期待されており、環境問題に関心のある学生さんにも魅力的な研究対象になるはずです。
微生物分野では「大事なことは菌から教わる」などとよく言われます。教員が教えたいことを教えるというよりも、実際に菌を相手に研究を進めるなかで、実験結果が新しい知識や次の方向を示してくれることが多いです。一緒に菌からたくさんのことを学んでいきましょう!
共同研究や産学連携への展望
微生物の代謝機能の活用、一緒に挑戦しましょう!
二酸化炭素排出の削減や、二酸化炭素を原料としたものづくりの必要性は、社会的にますます高まっています。こうした背景から、私たちが研究材料とする水素細菌にも注目が集まっており、各種機関や企業と連携して応用に向けた取り組みを進めています。これらの取り組みは研究概要ポスターにまとめていますが、特定目的に限定した応用研究から、菌の改変・育種技術の開発や代謝メカニズム解明といった基盤研究まで、幅広く展開しています。ご興味のある方はぜひお声がけ下さい。
また水素細菌以外にも、微生物の多様な能力を活かした産業利用に企業の皆様と取り組んでいます。鹿児島県福山町の伝統的製法による黒酢づくりでは、発酵中に現れる酢酸菌や乳酸菌を精査することで、一見無造作にも見える昔ながらの製法の中に、実は安定的に醸造が進むためのからくりが数多く仕組まれていることが示されました。微生物の多様で優れた能力を発見・活用する研究を通じて、産業利用の一助となれば幸いです。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 微生物、代謝、進化、エネルギー、炭酸固定、二酸化炭素、水素、水素細菌、アミノ酸、酵素、代謝工学、極限環境微生物、生命の起源
キーワード2 : CO2削減、低炭素社会、水素社会、バイオものづくり