プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
「植物の生き様」に分子を起点として迫る
植物の花粉識別の仕組み
植物の雌しべには、風や虫によってさまざまな花粉が運ばれてきます。雌しべの先端にある「柱頭」と呼ばれる部分は、では、花粉が「受け入れるべき相手」かどうかを選び分ける仕組みが働いています。たとえば、別の植物種から運ばれてきた花粉は、通常は柱頭から先に進めず拒絶されます。また、自分自身の花粉も、近交弱勢を避けるため、多くの植物では「自家不和合性」という仕組みによって受け入れられません。
私たちは、この未知のメカニズムを明らかにすることで、植物の生殖の不思議を理解するとともに、将来的には農作物の品種改良や受粉の安定化に役立てたいと考えています。
身近な野外からの研究材料探しを起点とした生命現象を担う物質探索
近年では、ゲノムシーケンス技術の発達に伴い、「モデル生物」と呼ばれる分子レベルでの研究でよく用いられる生物種ではない「非モデル生物」でも詳細な解析が可能になっています。生き物の制約にとらわれず、身近な自然 (例えば、キャンパス内で咲いている花の蜜腺から採取したバクテリア) から研究対象に適したオリジナルの材料を探索・選定し、それらの生き物の営みを担う生理活性物質の探索を進めています。そういった中から農学に有用な分子が見つかることも期待されます。
教育内容
未知・未経験を解決できるクリエイティブな「人財」へ
研究は言わずもがなですが、まだ誰も知らないことを明らかにしていくアクティビティです。「未知」に立ち向かっていく過程では、教員・学生という身分は正直なところ些細な違いで、研究や議論ではもはや対等な関係と考えています。学生さんのアイデアで研究が進むこともよくあります。色々と試行錯誤し探索することは、大変なこともありますが、自分で考えたアイデア・調査した文献をもとに実験を計画して試していくのは非常に楽しいですし、実際に学生さんも楽しんで研究に向き合ってくれているのではないかと (勝手に) 感じています。そして、そのような姿勢で研究室生活を過ごしている学生さんはどんどん成長して、アカデミアでも企業就職でも重宝されるようなクリエイティブな「人財」になっています。せっかく長い時間を過ごすことになる研究室生活ですし、中世では研究はもともとお金持ちの道楽だったものです。楽しみながら、のめり込んで、たくさんの経験を得ていきましょう。それに向けたサポートをし、一緒に議論や研究を進めていきたいと思います。
共同研究や産学連携への展望
植物をとりまく物質からの応用展開
研究対象としているのは植物をとりまくタンパク質から低分子化合物の分子です。花をとりまく物質から育種を加速させるような仕組みや、微生物を操るようなツールとなるような物質を見出していきたいと鋭意研究を進めています。また花粉によるクチクラ (とりわけクチンポリマー) の分解などについても解析を進めており、得られた知見からクチンと似た分子でありペットボトルの原材料であるポリエチレンテレフタラートの分解技術の基礎知見が得られることも期待されます。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 植物、微生物、受粉、自家不和合性、種間生殖障壁、膜タンパク質複合体、花粉、雌しべ、ケシ科、アブラナ科、クチクラ、蜜腺、シアノバクテリア
キーワード2 : 食糧問題、育種