プロフィール

小林 奈通子

小林 奈通子

KOBAYASHI Natsuko

専攻 附属アイソトープ農学教育研究施設 Isotope Facility for Agricultural Education and Research
研究室 放射線植物生理学研究室 Laboratory of Radio Plant Physiology
職名 准教授 / Associate Professor

一般の方へ向けた研究紹介

植物生長の調整因子を見つけ、活かす

 植物をはじめ、生物の体内では絶えず物質移動が行われています。この物質移動を担う基本的なメカニズムは多くの植物に共通しているのですが、完全に同じというわけではなく、その差異が、植物生長の良し悪しにつながることもあります。私たちは、植物体内の物質輸送のキーとなる要素(分子)の機能を解析し、さらにそれを植物の生長力強化に活かす取組みを行っています。また、キーとなる分子として広く認知されているにも関わらず、成長力強化に活かせていない分子が少なからず存在する現状を研究分野における課題として捉え、分子機能の詳細な分析と、高度なゲノム編集技術を組み合わせた最新のアプローチによってこの壁を乗り越えようとしています。 また、植物研究には、農業・林業の現場で観察される現象を科学的根拠をもって正しく解説するという役割も求められています。この役割を果たすためには、農業・林業の現場特有の複雑で多様な環境を解析する研究活動が重要と考え、私たちは、作物や樹木、土壌、土壌微生物を対象とした網羅的解析プロジェクトに参画し、各現象の裏に潜む植物生長の調整因子を特定する取り組みも進めています。

教育内容

ラボでもフィールドでも、思う存分植物に向き合う

 講義では、主に放射線と植物研究をテーマとして扱い、農業環境や食事の観点から話題を提供しています。研究室活動としては、ラボワークが中心ですが、研究課題によってはフィールドワークの割合も高まります。研究課題は教員から提案はしますが、最終的には学生自身で決めてもらっています。また、研究室の規模の小ささを活かして教員と学生の距離を近く保ち、気軽に研究上の質問や相談をしあえるようにしています。希望者には、海外の研究室への留学(数週間~)も支援しています。 学生に対しては、研究を進めるために必要な実験手法や機器の取扱いなどの基本的な技術を習得することに加え、研究対象となる植物や微生物を常日頃から注意深く観察する姿勢の大切さを伝えるようにしています。このことは、研究対象からの「メッセージ」を受け取り、研究対象を正しく理解するために欠かせないからです。そして最後に、得られたデータと真摯に向き合う。このような人材を育成したいと思っています。 卒業生の進路は実に多様です。大学・官公庁や企業の研究職以外にも、金融関係、医学部編入などの例もあります。

共同研究や産学連携への展望

放射性同位元素を使いこなす

 非密封の放射性同位元素を扱った植物研究を実施する環境を整えた上で、植物体内の物質輸送をin planta で評価する研究手法を確立して研究に活かしています。これにより、分子のもつ機能が明確に捉えられたり、また、今まで見えなかったものが見えたりしています。さらに、植物体内のみならず、植物-植物間や、植物-微生物間での物質のやり取りの可視化・定量化にも、放射性同位元素は最適なツールだと思います。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  植物、放射線、物質輸送、環境
キーワード2  :  土壌劣化、塩害、気候変動、環境汚染