プロフィール
専攻 |
応用生命化学専攻
Department of Applied Biological Chemistry
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研究室 |
食の健康科学(ニップン)研究室
Laboratory of Food-Related Health Science
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職名 |
特任准教授 / Project Associate Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
食の機能性研究(認知症予防、トランスポーター、体内動態解析)
①食品ポリフェノールによる認知症予防・改善効果
近年世界的にアルツハイマー病 (AD: Alzheimer's disease) 患者が増加し、治療が困難なことから予防が重要視されています。我々は食の抗AD作用に着目し、シソ科植物に含まれるポリフェノールの1種ロスマリン酸の研究を行っています。ロスマリン酸は腸から吸収されにくく、また脳内にも入りにくいことが分かっています。それにも関わらずロスマリン酸を食べると脳内の炎症が抑制され、AD発症を予防します。これらのことから、ロスマリン酸がどの様な機構で脳内炎症を抑制し、AD予防に寄与しているのかを解析しています。また、血液検査でADを診断できるようなバイオマーカーの探索およびその機能解析を行い臨床応用を目指しています。
②機能性成分の吸収・代謝・分布・排泄の動態と機作解明
食の機能性に関する研究は進む一方、機能性成分の体内動態(吸収・代謝・分布・排泄機構)はほとんど解明されていません。我々は、特に経口摂取した機能性成分が体内へ入る最初の関門である、消化管での代謝および吸収機構を中心に、体内動態に関する研究を行っています。また新たなトランスポーターの同定とその輸送特性についても研究しています。
教育内容
食や医薬品研究においてリーダーに資する人材を育成することを目指しています
3年生対象の学生実験では、食品動物実験を担当しています。講義では、食品免疫・腸管機能学、食の科学ゼミナール、フードクリエイションサイエンス等を担当しています。大学で学ぶこと、また大学での研究成果が、どの様にして我々の生活の豊かさに貢献できるか、という視点を常にもちつつ講義・実習を行っています。
これまで研究室に配属された学部生は1名を除き全員修士課程へ進学し、博士課程に進学する者もいます。修士の間に全員が1回以上学会発表を行っており、出来る限り学生が筆頭著者で論文発表することを目指し指導しています。修了後の進路は食品や製薬企業の研究開発職が大半を占めています。
過去5年間修了生の就職先(1学年1~2名):第一三共、ミヤリサン製薬、ニップン、東洋製薬、高砂香料、ハウス食品、江崎グリコ、サントリー、野村総研。
共同研究や産学連携への展望
食品の機能を生かした認知症予防による高齢化問題の解決、体内動態解析による食の安全性の解析
高齢化問題
老化やアルツハイマー病による認知症を予防するための研究をin vitro系、モデルマウス、および臨床試験等により行っています。これまでの産官学の取り組みとして、イノベーション創出強化研究推進事業(”鶏卵市場拡大に向けた卵の認知機能改善研と付加価値鶏卵の開発”)、A-step(”健康寿命延伸のための安定同位体トレーサーによる脳内ホルモン可視化技術開発”)等があります。また、ヒト血漿中microRNAの網羅的解析とその機能解析について共同研究を進めています。
食の安全性
経口摂取した成分の体内動態は、食の機能性および安全性には不可欠な情報です。我々は、腸管上皮、血液脳関門などのモデル細胞、トランスポーター発現細胞、およびオルガノイド等を用いた速度論的解析により、生体膜の輸送を明らかにしています。またマウスなどのモデル動物およびヒトの腸内細菌叢における代謝物の網羅的解析および体内動態試験を行っています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 食品、ポリフェノール、認知症予防、体内動態、トランスポーター
キーワード2 : 高齢化問題、食の安全性