プロフィール

黒澤 珠希

黒澤 珠希

KUROSAWA Tamaki

専攻 獣医学専攻 Department of Veterinary Medical Sciences
研究室 獣医薬理学教室 Laboratory of Veterinary Pharmacology
職名 助教 / Assistant Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

見過ごされてきた臓器間質から多細胞生物の謎と健康に迫る

多細胞生物は、多種多様な細胞からなる多臓器を絶妙なバランスで保ちながら存在しています。そのメカニズムの解明は、生物存在の本質と関わると同時に、我々の健康に貢献すると考えています。これまでは臓器を構成している実質細胞の研究が中心でしたが、私は見過ごされてきた間質細胞を調べることで新しい臓器維持システムの一端に触れています。多臓器一挙並行解析を用いることで、体内各所に存在する間質が臓器固有の性質を有すること、臓器の一部分として振る舞うこと、特に臓器の健康維持を担っていた証拠を見付けつつあります。

教育内容

自らの視点を通じて発見し、社会に発信できる人材の育成

獣医学専修の毒性学実習と生体機能学実習を担当しています。
私たちの目標は、科学的思考と倫理観を備えた獣医師・研究者の育成です。科学的手法を通じて自らの手で発見し、その成果を社会に発信する力を身につけてほしいと考えています。皆さんの優れた能力を活かし、基礎生物学を進展してくださることを期待します。一人一人の異なる視点が、独創的な研究の種を見出すと信じています。
これまでに関わった卒業生の研究テーマは以下の通りです:
・Liver fibrosis-induced muscle atrophy is mediated by elevated levels of circulating TNFα.
・Transcriptome analysis of mesenchymal stromal cells of the large and small intestinal smooth muscle layers reveals a unique gastrointestinal stromal signature.
・Dasatinib promotes muscle differentiation and disrupts normal muscle regeneration.
・Delayed Upper Gastrointestinal Motility in Mice Treated with Oral Iron Tablets.

共同研究や産学連携への展望

体の老化を防ぐ鍵は、意外な細胞にあり?

私たちの体は、さまざまな臓器でできています。各臓器は、主役の細胞(実質)と、それを支える細胞(間質)からなります。これまで細胞生物学の研究は主役の細胞に注目してきましたが、支え役の間質細胞、特に「線維芽細胞」が臓器の健康に重要な役割を果たすことがわかってきました。例えば、加齢に伴い筋肉が弱くなる「サルコペニア」は、高齢化社会の大きな課題です。私たちは線維芽細胞からこの病気の原因を探っています。
線維芽細胞は、肝臓、肺、心臓、筋肉、腸、脂肪など多くの臓器にあり、見た目や作る物質が似ています。研究では、これらの臓器の線維芽細胞を比べ、この細胞が臓器固有の存在であることを明らかにしました。また、老化すると線維芽細胞が作らなくなる筋肉固有の物質を特定し、この物質減少が筋力低下を引き起こすことを見出しました。
続く研究として、胎児の段階で線維芽細胞の臓器固有性が決まる仕組みを調べています。この研究は、サルコペニアや臓器の線維症といった病気の予防・治療や、iPS細胞から作る臓器の質を高めることに役立ちます。間質の健康を通じて、皆さんの健康な生活を長く支える未来を目指します。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  細胞分子生物学、間質、線維芽細胞、老化、発生、骨格筋
キーワード2  :  臓器線維症、老化、サルコペニア、薬剤副作用