プロフィール

前島 健作

前島 健作

MAEJIMA Kensaku

専攻 生産・環境生物学専攻 Department of Agricultural and Environmental Biology
研究室 植物病理学研究室 Laboratory of Plant Pathology
職名 准教授 / Associate Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

基礎研究と応用研究の垣根を越えて植物病の解決を目指す

私の研究目標は植物病の解決です。植物病により世界の食料生産の1/3が失われており、農業の持続性ひいては人々の生活を脅かす最大の課題の一つとなっています。なかでも植物ウイルスや「ファイトプラズマ」と呼ばれる特殊な細菌は、植物の葉や花に異常な形態を生じさせたり、果実の品質を大きく損なったりする一方で、自身の代謝系をほとんど持たないため人工培養や化学農薬の開発が困難で、サイズが極小のため通常の顕微鏡では見ることすらできません。私たちは、これら病原体が持つ遺伝子やタンパク質が、植物の中でどのように働いて病気を引き起こし、感染を拡大するのか、そして植物がどのように対抗しうるのかを分子レベルで解き明かすことを通じて、被害抑止のための新技術の開発を行なっています。さらに、現場の生産者や検査機関が使いやすい、シンプルかつ高精度な診断技術の開発にも力を入れています。また、近年では太平洋島嶼国において植物病の抑止を通じた食料安全保障のための国際共同研究プロジェクトを展開しています。

教育内容

分子からフィールドまで縦横無尽に研究を愉しむ

学部および大学院教育では、植物と微生物の相互作用を植物病理学を基盤として多角的に学ぶ機会を提供しています。学部の実験・実習では実際に微生物を取り扱いながら、遺伝子診断や顕微鏡観察、発病評価などを体験してもらいます。加えて、遺伝子操作や次世代シーケンサーを用いた実験技術にも触れることで、植物病研究の最前線に近い環境を経験することができます。学部4年生や大学院生には、まず第一に自由な研究活動を愉しんで欲しい(そして一緒に愉しみたい)という観点から、本人の希望や適性に合致するテーマで研究に取り組んでもらっています。研究の舞台は試験管の中からフィールドまで人によってさまざまです。その上で、論文執筆や国際学会での発表を通じて、自らの研究の意義を世界の研究の潮流の中で明文化し発信する力を養えるよう指導をしています。また、単なる知識や技術の習得にとどまらず、「なぜこの実験を行うのか」「この研究は農学と社会にどう役立つのか」といった問いを常に意識してもらい、研究者としての論理的思考と自らを客観視する俯瞰性を身につけられるようにしています。近年では途上国の農業技術を支援する研究活動をスタートさせており、社会課題の解決に直接携わる経験を積むことができます。卒業・修了後は、研究者や行政機関の専門職、種苗会社やバイオ企業の技術者に限らず、多様な進路が広がっています。研究活動を通じて培われる「課題発見・解決」の能力は、将来どのような分野でも活かすことのできる強みになるでしょう。蛇足ですが、卒業生がときおり元気な顔を見せにきてくれると、教員としては嬉しいもので、いつも大いに励みになっています。

共同研究や産学連携への展望

農業に役立つ農学を展開する

基礎的な植物病研究にとどまらず、その成果を社会に還元することを重視しています。例えば、植物病原体を迅速に検出する診断技術の開発は、農業現場や検査機関での需要が高く、試薬メーカーとの共同研究によって、簡易診断キットの実装を進めてきました。プラムポックスウイルスやサツマイモ基腐病などはその実例です。今後も新たな診断技術の開発により、輸出農作物の健全性保証など、産地や日本の競争力向上に資する研究を行う予定で、農業生産者のみならず企業・行政に対しても価値ある研究を提供していきます。また、病原体が植物に作用させる病原性因子の機能や、感染を制御する植物側の因子を解明することで、植物病の発生抑止や病害抵抗性を持つ新品種育成に繋げたいと考えています。これらの研究は、企業による作物育種と組み合わさることで早期実用化につながると期待しています。さらに、「原因不明の植物病」についても、最先端の診断技術を用いた病原体探索や、フィールド調査との組み合わせにより原因究明を支援しています。これらの取り組みは、農業生産者や地方自治体が現場で直面する課題の迅速な解決に直結するものです。今後も、基礎科学と応用技術の両輪で研究を進め、現場や企業、行政と連携しながら、新しい植物病管理の仕組みづくりに貢献していきたいと考えています。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  植物、微生物、病原体、ウイルス、細菌、バクテリア、カビ、菌、診断、病原性、抵抗性
キーワード2  :  途上国、食糧問題、食糧安全保障