プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
精妙に制御される“スプライシング”の魅力
スプライシングとは、DNAから転写されたmRNA前駆体からイントロン(非コード領域)を除去し、エキソン(コード領域)を連結する過程です。スプライシングは真核生物における転写後調節の主要なプロセスの一つですが、特にヒトを含めた高等真核生物では、多くの遺伝子にイントロンが存在し、1つの遺伝子から複数種類のmRNAおよびタンパク質が生成されることが知られています。この機構を選択的スプライシングと呼び、限られた遺伝子数でも多様なタンパク質を作り出すことを可能にしており、細胞の機能的多様性や組織特異的な遺伝子発現に重要な役割を果たしています。この複雑かつ精妙に制御されるスプライシングが不全になると、本来は生成されるはずのなかったmRNAからタンパク質が翻訳され、正常な細胞機能に破綻をもたらすことがあります。私たちの研究室では、選択的スプライシングを起点として、細胞の分化・運命決定といった基礎生物学的な研究から、治療標的の創出を目指す研究まで幅広く取り組んでいます。
教育内容
“楽しむ”ことが大切
研究室に来る(来たい)ということは、何らかの科学的な興味があって参加されるはずです(そうであってほしい)。研究生活では、「未知への挑戦」というロマン(?)を持ち続けることが大切ですが、その前提として、新しい知識や技術を習得すること、課題や問題点を明確にすること、そして科学的なコミュニケーション能力を磨くことなど、日々の地道な取り組み(やる気)が求められます。研究というのは、マラソンや登山に似ており、ある程度の地点やゴールに達して初めて、その“楽しさ”を実感することができます。そういった意味では、「楽しむこと」は「楽(らく)」なことではありませんが、試行錯誤を重ねながら少しずつ前に進んでいくその過程にこそ、本当の意味での充実感や達成感があるのだと思います。この日々の着実な修練を大切にしながら、学生のみなさんが充実した研究生活を過ごせるように努めていきます。
共同研究や産学連携への展望
産学連携による創薬シーズ探索
私たちは、スプライシングを標的とした創薬シーズの探索にも取り組んでいます。生体調節機能を担う遺伝子のスプライシングスイッチを検出するレポーターを多数揃えていることから、ユニークな低分子化合物や生理活性物質のスクリーニングを効率的に行うことが可能です。これらの技術基盤を活かした産学連携を積極的に推進し、基礎研究の成果を実用化へつなげ、新規創薬ターゲットの創出や治療法の革新に貢献していきたいと考えています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 細胞、分化、転写後調節
キーワード2 : 超高齢社会、創薬シーズの探索