プロフィール

三原 大輝

三原 大輝

MIHARA Taiki

専攻 獣医学専攻 Department of Veterinary Medical Sciences
研究室 獣医薬理学研究室 Department of Veterinary Pharmacology
職名 助教 / Research Associate

一般の方へ向けた研究紹介

腹膜透析に起因する合併症への治療・予防法の開発

 腎臓は血液を浄化する濾過機能を持ちますが、その機能が落ちてきた場合、「人工透析」を行う必要が出てきます。
 人工透析には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。血液透析は医療機関での1回5時間程度、週3回の断続的な時間的拘束がある他、透析後の強い疲労感や心臓・血管系への負担など問題点が多いです。一方、腹膜透析は自宅で睡眠中に行えるほか、体への負担が少ない特徴があります。腹膜透析の方が血液透析に比べ「生活の質」を維持しやすいにも関わらず、普及率は腹膜透析が圧倒的に低いです(国内で3%)。
 腹膜透析は長い間続けていると、おなかの中の表面が徐々に傷ついてしまい、透析を続けられなくなるという現象が必ず起こります(腹膜劣化)。この現象の存在が、腹膜透析の普及していない原因になっています。
 そこで本研究は、腹膜劣化の予防法・治療法を開発し、腹膜透析の普及を介して透析をより行いやすい環境を整えることを目指しています。

教育内容

課題解決能力を養う学生生活

教育活動内容
 

獣医学の中でも主に薬理学に関する実習を担当しています。普段何気なく使用している薬剤が体の中でどこに結合し、どのような反応を起こすのか、それがどのような形で目に見えるのか (≒治療効果) を実際に体験してもらうことが主たる内容です。

人材育成の目標
 

これまで多くの試験を受け、正解がある中でどれだけ正しい答えを導けるかという学習をしてきたことと思います。しかし今後は、研究にしろビジネスにしろ、答えが無い中でどれだけ結果を出せるかという全く異なった能力が求められます。研究というツールを用いて上記のような「課題解決能力」を養い、社会に貢献していける人材を育成したいと考えています。

共同研究や産学連携への展望

腹膜透析に起因する合併症への治療・予防法の開発

 末期腎不全患者は腹膜透析 (PD) または血液透析を行う必要があります。PDは生活の質を維持しやすい他、循環器系への負担が少ないなど様々なメリットがあります。しかしPDにより不可避かつ不可逆の病態である腹膜劣化が3-5年で惹起され、中断を余儀無くされるという懸念点があります。また、腹膜劣化の有用な病態マーカーが確立されておらず、腹膜劣化の早期発見・治療が難しいという問題もあります。
 基礎研究により、①因子Xが腹膜劣化の治療・予防標的となり得ること、②PD排液中の因子X濃度が腹膜劣化の新規病態マーカーとなり得ることをすでに示しています。この成果を基に臨床現場におけるPD普及の一助とすることを目的としております (因子Xは特定済み、未発表のため伏せています)。

研究概要ポスター(PDF)

キーワード

キーワード1  :  獣医学、薬理学、腹膜透析、線維症
キーワード2  :  人工透析、肝硬変、肝臓がん