プロフィール
専攻 |
応用生命化学専攻
Department of Applied Biological Chemistry
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研究室 |
植物分子生理学研究室
Laboratory of Plant Molecular Physiology
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職名 |
准教授 / Associate Professor |
一般の方へ向けた研究紹介
植物が環境の変化に柔軟に対応して生き抜く仕組みを研究しています。
研究の背景
地球規模での環境変動が進み、異常気象や気象災害のニュースを頻繁に聞くようになってきました。干ばつ、熱波などの気象災害は、農業にも大きな被害を及ぼし、食料の供給や価格にも影響が出ています。一方で、植物は根を下ろした場所や年による環境の違い、そして日々の環境変化にしなやかに対応し、耐える能力を進化させてきました。この能力を明らかにし、生かすことで、食料供給や農業の持続性に貢献したいと考えています。
研究の内容
モデル植物のシロイヌナズナ、そして作物としてイネ、トマトを使っています。シロイヌナズナを使って、植物が環境ストレス下で生き抜くための遺伝子の働きを研究しています。また、得られた成果が作物にも応用できるか研究する一方、各作物が持つ独自の環境ストレス耐性機構についても研究しています。最近では特に高温ストレスへの応答の仕組みの研究が進んでいます。
今後の展望
得られた遺伝子レベルの知見は、環境ストレス耐性品種の作出への利用が期待されます。また、環境ストレス応答の仕組みを理解することは、劣悪環境や環境変化に対応した農業技術の開発、さらに、植物の環境応答を利用した新しい農業技術の開発にもつながります。これらの目的を果たすため、最先端の遺伝子研究を続けていきます。
教育内容
植物の生の科学的理解や実践を通じ、社会に貢献できる人材を育成します。
教育活動内容
植物分子生理学の講義では、「私たちの生活を支える植物はどのように生きているのか」をテーマに、高校生物で学習する植物生理学の根底にある分子機構に加えて、環境に応じて自らを変化させる植物の環境応答の分野まで、身近な例を糸口に最新の分子生物学の知見を交えて解説します。さらに、得られた遺伝子レベルの知見を応用する手法まで紹介します。学生実験では、土壌植物分析実験を担当しています。
人材育成の目標
学部では、人間社会を支える植物の生を理解し、他の講義や実習から得た知識と結び付けて世の中に生かせるようになることを期待しています。大学院では、科学的な考え方を実践して社会に貢献できる人材、科学にも社会にも誠実な人材の育成を目標としています。
人材輩出の実績
研究室の卒業生は様々な分野で活躍しています。修士の卒業生の多くは修士論文の内容を学会で発表しています。
共同研究や産学連携への展望
植物の環境ストレス耐性だけでなく、環境応答の生産技術への応用も研究しています。
取り組んでいる社会問題
気候変動、地球温暖化、異常気象による作物の収量低下、特に高温ストレスに関する諸問題
現時点での課題に対する成果物や進捗
これまでモデル植物を用いて高温ストレス応答の仕組みの解明を進め、実際に高温耐性が向上した植物を作出しています。現在は解明した仕組みが作物において利用可能かどうか検証を進めています。また、作物を材料にした産学共同研究で、遺伝子発現を用いて生理状態を把握し、生産に応用する技術の開発も行ってきています。
今後の進展に適用可能な技術や研究、展望
植物の環境ストレス応答、特に高温ストレス応答に関しては、生理学的、分子生物学的な評価法、また知識も集積しており提供することができます。一方で実際の農業現場には、科学的には解明できていないけれども、新しい科学の種となる現象が多く残っていると思います。環境変動や温暖化に関係する農業上の問題に関して、一緒に解決しつつ、新しい現象の解明もできれば幸いです。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 植物、モデル植物、作物、環境応答、環境ストレス、ストレス耐性、高温、低温、乾燥、遺伝子、転写因子、発現制御、翻訳後制御
キーワード2 : 気候変動、地球温暖化、干ばつ、高温障害、低温障害、食糧問題