プロフィール

村岡 裕由

村岡 裕由

MURAOKA Hiroyuki

専攻 森林科学専攻 Department of Forest Science
研究室 造林学研究室 Laboratory of Silviculture
職名 教授 / Professor
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一般の方へ向けた研究紹介

樹木の葉の光合成から森林生態系のCO2吸収・蓄積のメカニズムの解明と予測

 森林は私たち人類を含む多くの生物を支える重要な生態系です。森林は木材資源の供給だけでなく,水源涵養・水質浄化,土砂災害の防止,文化やレクリエーション,そして二酸化炭素の吸収を通じた有機物の生産と地球温暖化の緩和,生物多様性の保全などの重要な生態系サービスを担っています。
 世界的には気候変動の進行によって森林が曝される高温や乾燥など環境ストレスは増しており,土地改変の影響も受けて,炭素吸収力の劣化または放出源への変化が生じています。日本を含む東アジア・東南アジアでも,短期的・長期的な気候変動,社会・経済的変化により,森林が直面するリスクが懸念されています。気候変動と人間活動の急速な変化が進む現代及び将来において,森林に求められる多面的機能の健全性と安定性は重要性を増しています。
 造林学研究室では,特に森林樹木の成長や土壌の炭素蓄積に関する生理生態学的な研究を軸として,森林の生産や生態系機能の持続可能性に関する研究に取り組んでいます。

教育内容

森林がもつ多面的機能を司る多様な研究分野と時空間スケールを繋ぐ知識・技術を育みます

 造林学は,生態系機能を損なうことなく生態系サービスが将来にわたって維持されるように健全な森林を育成する技術の構築と資質の養成を担う学問分野です。樹木や森林の成長には長い時間を要し,その間に環境も変動します。そのため森林科学は,植物生理生態や物質循環に関する基礎的研究から,気候変動と生物圏の相互作用を扱う地球システム科学まで波及します。
 森林の育成と木材資源の利活用の循環は,生態系サービスの供給源となる森林の管理・保全を通じて温暖化緩和策・気候変動適応策にも関わります。今後の造林学には,将来の地球環境や社会の変化を見越した研究を通じた森林の生産・機能・保全のシナジーを実現する知見と技術の構築,及び人材育成が求められています。 造林学研究室では,樹木の一枚の葉の光合成から広大な森林の炭素蓄積に至るまで,秒単位から数十年規模に至るまで,広範な時間的・空間的スケールの生態現象に注目した研究を進めています。
 そのため,植物生理生態学,生態学,生物地球化学,衛星生態学など多様な科学と,社会が蓄積してきた森林管理に関する知識や技術を組み合わせて,気候変動や人間社会が変化する時代における持続可能な森林生産や多面的機能の保全にも資する人材の育成に貢献する教育に取り組みます。

共同研究や産学連携への展望

地球環境を守るために森林生態系の仕組みと環境変動の影響を調べています

取り組んでいる社会問題
気候変動下での森林生態系の変動メカニズムの解明や予測による,森林の多面的機能や生物多様性の保全とそれらの重要性の国内・国際社会への普及を目指しています。

現時点での課題に対する成果物や進捗
光環境の時空間的変動に対する林床植物の成長特性の解明
落葉広葉樹林の炭素循環における植物フェノロジーや年々変動の生理生態学的機構の解明
温暖化に対する森林土壌の炭素動態応答の実験的解明
生態系モデルによる森林炭素循環の定量化と将来予測
森林の光合成機能の近接・衛星観測手法の開発と適用

今後の進展に適用可能な技術や研究,展望
光合成蒸散速度やクロロフィル蛍光の測定及び光合成反応理論によるモデル化
葉の形態的・生化学的形質の計測,樹木枝葉の3次元構造の計測とモデル化
植物の生理生態学的特性や土壌炭素動態の観測に基づく森林の炭素収支のモデルシミュレーション
分光放射計や地球観測衛星によるリモートセンシングとモデルの結合による林冠から流域,地域規模での光合成能の推定

研究概要ポスター(PDF)

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キーワード

キーワード1  :  森林、生態系、光合成、炭素循環、バイオマス生産、温暖化、気候変動
キーワード2  :  森林保全、生物多様性保全、気候変動