プロフィール
一般の方へ向けた研究紹介
農業に携わる人々が必要な情報を見える化し、持続可能な農業を目指す
私たちの研究は、農業に情報技術を取り入れ、持続可能な食の未来を実現することを目指しています。いま日本の農業は、高齢化によって担い手が減少する一方で、異業種からの参入や新しい農業経営の形が広がるなど、大きな転換期にあります。こうした状況で重要になるのが、農業に携わる人が現場で活用できる情報を「見える化」することです。これまでの研究例として、人手作業が多い施設栽培のトマトやイチゴなどを対象に、カメラで撮影した生育画像を解析して収穫量や時期を予測したり、必要な作業時間を見積もったりする技術を開発してきました。また、花卉の生産現場では、市販のIoT機器を組み合わせた簡単なモニタリングシステムを運用し、生産者同士が栽培状況を共有できる実証研究を進めています。これにより、新規就農者を支援することも可能になります。さらに、新しい品種を開発する育種家と協力し、有望な系統を効率的に選び出す研究や、衛星画像を利用して地域全体の農業を見える化する研究も進めています。これらの取り組みは、農業の効率化や品質向上だけでなく、将来の食の安定供給を実現し、地域社会を支える農業を守ることにもつながると考えています。
教育内容
農業現場の課題に向き合い、情報の力で挑み、学びを深める
教育活動では、研究で培った「農業の見える化」の視点を取り入れながら、学生が実践的に学べる機会を大切にしています。学部の講義では「情報処理演習」を担当し、卒業研究で扱う農業現場のデータを分析するために必要な素養を身につけてもらえるよう、講義と演習を組み合わせて指導しています。卒業研究のテーマは、農業の生産現場や研究で生じる課題を対象とし、生産者や公的研究機関、企業や大学の研究者と連携して進める機会があります。様々な分野の専門家との協働を通じて、コミュニケーション力を養い、農業を情報の視点から分析する専門性を育みます。今のところ残念ながら、卒業後に直接農業関係の仕事に進む学生は多くはありません。しかし、農業現場には誰も取り組んだことのない複雑な課題があふれており、それに挑むことは大きな成長の機会になると考えています。研究は必ずしも当初の計画通りに進むとは限りません。困難を難しさと捉えず、前向きに楽しむ姿勢を持つ方と、一緒に学び、挑戦していければと思います。
共同研究や産学連携への展望
研究と教育の両輪で、農業を情報の視点から分析できる人材を育み、企業と価値を共創する
私たちは、農業分野に情報技術を取り入れ、課題解決につながる新しいアプローチを模索しています。農業をとりまく課題は多様で複雑であり、一つの技術や方法だけで解決できるものではありません。そのため、特定の作物や技術に限定せず、農業に関わる情報を幅広く扱い、状況に応じて柔軟に対応できることを強みとしています。重要なのは、現場の本質的な課題を共に見つけ出し、解決に向けて試行を重ねていくプロセスだと考えています。こうした取り組みの中で学生も研究に参画し、実践的な課題解決の経験を積むことができます。これにより、農業を情報の視点から分析できる人材や、多様な関係者と協働できる人材を育成したいと考えています。完成された技術をすぐにご提供できることも大切ですが、研究と教育の両輪を通じて、社会的な価値につながる成果と人材を、企業の方々と共に育てていくことも目指しています。
研究概要ポスター(PDF)
関連リンク
キーワード
キーワード1 : 農業情報、スマート農業、画像解析、IoT、収量予測
キーワード2 : 担い手不足、高齢化、食料問題、持続可能性、地域農業